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しまおの来ない庭。

◇外猫しまおが、去年の11月に死んでいたことがわかってみると、クリスマスにDVDを見ながらカツジ猫とケーキを食べていたときも、正月から間もなくして黒猫バギイが死んだときも、その間ずっとしまおは今ごろどうしているのかと気にしてた毎日、もうすでに、しまおはどこにもいなかったのだなあと、あらためて思います。
昨日、遅れたお彼岸で、近くの私個人の墓にお参りして来ました。この墓の石には、いっしょに暮らした猫と犬の名が全部書いてあります。数えたら13匹だった(笑)。
一昨年、実家からひきとって間もなく死んだモモの名前がまだ入ってなかったので、彼女といっしょにしまおの名前も彫りこんでもらうよう、頼んで来ました。しょうもないことですが、まあ私の自己満足です。

しまおは、もともと、うちの猫たちが自由に出歩いていたころに、エサを横取りにやって来ていて、どうやらそのために、当時はたった一匹のオス猫だった、大きなお人よしの黒猫ナッツウが家出して行方不明になってしまったし、金網越しにけんかしてカツジ猫にエイズをうつしたのも多分、しまおだと思います。だからまあ、それなりに恨みはあるのよ。
上の家に金網をつけて猫たちが外に出られなくしてからも、しまおは、エサの味が忘れられなかったのか、よく庭をうろついていましたが、私はこれ以上猫を増やす気はなかったし、第一私の方が先に死ぬかもしれないから責任持てんわいと思って、ずっと知らんふりを決めこんでいました。

結局、カツジの残すエサを捨てるのがもったいなくて、かなり決意してエサをやることにしたのですが、直接私がほだされたのは、いつもながらけっこうバカバカしいことです。
しまおは、よく庭に来て私がエサをやらないと、あきらめて帰っていましたが、私がおもちゃの金魚を浮かべて玄関の横においていた小さい鉢のなかの水を飲むのがくせでした。
そして、天気のいい日などにはいつも、水を飲んだあと、ウッドデッキに我が物顔に座って、のんびりと身体をなめていました。すっかり、うちの猫のようなたたずまいで、訪れて、それを見た人は私の飼い猫と思っていたようです。

どの猫がやってもそうだったとは思いませんが、その姿がいつも大変私を切なくさせました(笑)。エサなんかもらってないのに、水だけ飲んで、それでも、「このうちの猫」になった気分でいるかのような、その様子が、かなわない夢がかなったようなふりをしているようで、たまらないほどいじらしかった。私もバカですね、こうやって書いていると、つくづくと、そう思う。
でも、だから、彼にエサをやりはじめて、だんだんそれが当たり前になって、毎朝ぎゃあぎゃあ催促されて、時にはうんざりしながらも、私はいつも本当に幸せだったと思います。

もちろん彼は本当は、家の中にも入りたかったのだと思うし、一度は大工さんの工事中、上の家に入りこんで、ベッドで寝ていたことがありました。私が「だめよ」と追い出すと、ふしょうぶしょうに出て行きましたが、もし彼をそうやって毎日気持ちよくベッドで寝せてやることができていたら、もっと私は幸せになれたでしょう。まあ猫と同様に、人間の欲望にも限りはないわけですけれど。

◇庭には紫のムスカリや、寒さを生きのびた華やかな色のジュリアンや、三色すみれが満開ですが、花が咲くということは草も伸びるということでして、毎年のことですが、育ち始めたチューリップが、雑草に埋もれています。どうしよっかなあ。
生け垣のキンモクセイも、やわらかい茶色の芽をいっせいに伸ばし始めました。しかしねえ、去年、この若芽の美しさにうっとりして、つい放置していたところが、むしゃむしゃ茂って後で刈りこむのにひと苦労したという記憶があるのだよねえ。それを思うと情け容赦なく、今のうちに刈り取ってしまうべきなんだろうか。

◇上の家の冷蔵庫を空にして、スイッチを切りました。電気料金がどれだけ浮くかな。これはそのまま収納棚に使って食器などを入れておく予定なんですが、うっかり空けたお客さんは驚くかもしれません。せっかくなら、思いきり驚くようなものを入れておくのもいいな。ぬいぐるみとか。

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カツジ猫