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すごいっす。

ヤスミナなんとか(いーかげんに覚えろよ)さんの小説。「カブールの燕たち」読んだのですけど、冒頭の華やかに美しい文章から始まって、戦時下のカブールの人々の生活を二組の夫婦を通して浮き彫りにする。しかも、その夫婦の行きづまり方や心のはなれ方が、もう、ねえ、平和な時代の普通の夫婦や恋人どうしの抱える問題や心理と、ちっとも変わらない、そのわかりやすさ、身につまされさ(おかしかろ、文法が)、恐ろしさ。
しかも、でも、それは戦争ということで、拡大され凝縮される。つまり、恋人や家族や人間どうしの基本的な微妙な心理をえぐりながらも、同時に戦争の罪深さ、残酷さも強烈に告発してるんですよ。それも、ほんとに普通の端正な、平凡なぐらい、きちんとした文体で。

若いエリートの夫婦がタリバンの政治体制の中で、どんなに苦しみ、たがいを傷つけ合って滅びていくか、その心理がとても、とてもよくわかって、二人がいとおしくて、せつなかった。
女性がかぶることをタリバン下では義務づけられるチャドリ、そのことでずたずたになる知的エリートで美しい妻、しかもそのチャドリを彼女や女性がかぶっているということが、最後は男性もまた滅亡させる。
堅実で奇を衒わない書き方だからわかりにくいですが、この作家はすごくうまいし、大衆小説としての読ませる技術も高い。

ついでにエルモア・レナードの「ホット・キッド」も読みました。これはこれで面白かった。「3時10分」を思わせるせりふや雰囲気が、あちこち、ちらちら見えるのが楽しかったです。

キャラママさん。
私も仕事がせっぱつまって、もっとアバターの髪を振り乱させたいぐらいです(笑)。

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カツジ猫