せっかくだから。
◇これもつけておきましょか。明日の講演の資料です。
実際に話す時は、「要旨」はかなりふくらませますし、資料もここにあげてない分を読みますので、ぜひ聞きにいらして下さいませ。
それにしてもこの直前になっていきなり、「チボー家」のジャックは反戦ビラを何語で書いたんだったっけと、あわてている私もちょっとヤバいかもしんない(笑)。
◇資料1 ウォルターのことば(1) 戦争はカーキ色の軍服でもなければ教練でもないのだ―古い歴史で読んだことが全部僕の頭から離れないんだよ。夜、目を覚ましたままでいると今までに起こった事柄が見えるのだ―血や不潔さや悲惨なことがね。それに、銃剣突撃だ!かりに他の事柄には立向かうことができたとしても、こればかりはどうしても立向かえないよ。考えただけでも胸がむかついてくる―傷を受けるよりも与えた場合を思うと、もっと胸がむかつくんだ―銃剣をほかの男に突き刺すことを思うとね。 資料2 ウォルターのことば(2) あの死んだ女や子供が無情な氷のように冷たい水に浮かび漂っているところを想像したとき―そう、最初、僕は人生に対して嫌悪のようなものを感じた。このようなことが起こる世界から脱け出したいと思った―その呪わしいごみを永久に自分の足から払い落としたいと思ったよ。そのとき、僕は行かなくてはならないと悟ったのだ。 資料3 パウルの母 夜がふけてから、母は僕の部屋にはいって来た。もう僕が寝込んでしまったと思ったらしい。僕はまた寝たふりをしていた。目を覚まして、顔を見合して話をするのは、僕にはあまりに苦痛だった。 母は体の痛みを感じては、たびたび体を曲げたりしながら、ほとんど暁近くまで、そこに腰掛けていた。しまいにはさすがに僕もこらえきれなくなって、目を覚ましたようなふりをした。 「おっ母さん、行って寝て下さいよ。この部屋でそんなことをしていると、風邪を引きますから」 母はこう言った。 「寝るのは、わたし、まだこれからいくらでも寝られますよ」 資料4 ジャックのビラ いまや諸君は、彼らの戦争のいかなるものであるかを知ったのだ!…諸君は、弾丸のうなりを聞き、負傷者や瀕死の者のうめきを聞いたのだ!いまこそ諸君は、彼らの準備している大殺戮の恐ろしさを予感できることだろう!…すでに諸君の大部分は、いまさらのように目を覚まし、良心の奥では、あれほどやすやすとだまされたことを恥じている!あれほどわけなく捨ててきた親しいものたちへの思いで、諸君はいまやなやんでいる。(略) あした、同時に、日の出とともに、フランス人よ、ドイツ人よ、いっせいに、ヒロイズムと同胞愛の感激のうちに、諸君の銃をさかさにし、武器をすて、解放のおなじ叫びをあげるのだ!(略) いっせいに立て、あした、日の出とともに! 資料5 政府高官のことば それともまた、例のルシタニアの撃沈にしても、結局のところきわめて正当な報復行為で、つまりドイツ、オーストリヤ両国で、ルシタニヤに乗っていた女子供の一万倍、二万倍の女子供を、無慈悲な封鎖によって殺したことにたいする、きわめてお手やわらかな仕返しだったということなんて?…そうなんだ、ほんとうのことなど、めったに口に出すべきではないんだ! けしからんのは敵であり、連合国はつねに正しくなければならない! 資料6 ウォルターの詩 そして 東の空に 紅い月が昇る時 私は ひとりの若者を殺した! 細く美しい 弟のような青年を 無残にも殺(あや)め 喜びに浸る 血塗れた髪を前にして 私の心は満たされる (略) 地獄をつぶさに見つめ 我々の目は 焼けただれた 生きて還る者よりも 戦い命果てた者は幸いだ 死が 記憶を洗い清め すべてを忘れ去ることができるから しかし 生きながらえた我々に 忘却などあり得ようか (略) かつて 朝の風は喜びにあふれていた… 至るところに もがき苦しむ青年の姿が見える 私は うら若き青年を殺した! 資料7 アンのことば アン (落ち着き払って)今にしてみれば、ウォルターが生きて還ってこなかったのは、幸いだったと思うのよ。あの子は戦争の記憶をもっては生きていかれなかったでしょうよ…無駄に犠牲になった多くの尊い命を目にしたのなら、そのおぞましい恐怖の記憶が脳裏に焼きついて離れなかった…。 資料7 志位氏の発言 第2次大戦後の秩序というのは、日独伊の侵略戦争を不正不義のものとして断罪したうえに成り立っているのです。ですから米国政府も靖国参拝、日本軍「慰安婦」問題をめぐる歴史のわい曲、これらについて容認できないという立場は明瞭だと思います。