それじゃあ、すみません。
◇志布志のうなぎCM、いもづる式に、いろいろ不愉快な記憶をよびさますなあ。直近のから大昔のから。
http://www.excite.co.jp/News/column_g/20160928/Shueishapn_20160928_72666.html
まあ志布志市の側に、こういう女性とか人権とかについて、これまでの蓄積がまったくないのだから、「いったい何が悪いんだ?」と呆然としてるのかもしれない、ということは何となくわかるのだが、それにしても、何が悪いかわからないまま、抗議があったから、とにかくひっこめますという感じで、しかも「一部の過激な人の意見で、こっちが被害にあった」と感じてるのがみえみえなのが、本当に脱力する。
これ、逆のケースだけど、北海道の小さな町で、日韓双方の戦争犠牲者の慰霊碑を作ろうとして、日本会議とかの攻撃にあって断念したとかいう話も思い出すのだが、いっせいに批判が殺到したら、それについてゆっくり検討する余裕もなく、とにかくひっこめてやり過ごそう、というしか対処の方法が現実的にないというのも問題だ。これを機会にことの本質をゆっくり考えて今後に生かしましょうとかいう風にならないもんかね。
もちろん、その前に、起こり得る事態について、ちゃんと討議し、反論も用意してから決行する、ということが基本的には必要なわけだが。そして、その点では宗像市の女人禁制沖ノ島世界遺産だって、志布志市のことは全然笑えないわけだが。
いいよまだ、うなぎCMは、ひっこめりゃすむから。世界遺産なんてなってしまったら、市の内外でどんな混乱が起こっても、もう永遠にひっこみはつかないぞ。
それはさておき、あのCMのひっこめ方を見ていると、昔、私が「そういうのっておかしかろ」と厳重抗議したら、何がいけないのかまったく理解できないらしいままに、「じゃあ、すみません」と謝ったやつがいて、以後私はその相手はもちろん普通にちゃんとつきあってはいたが、自分の脳裏からは存在を完璧に抹殺した。まあその人としては、私の抗議の迫力に、そう言わなかったら私から物理的に抹殺されるかもしれないという恐怖を抱いたのかもしれないから、同情の余地はある(笑)。
◇それと、以前の志摩市の蒼嶋メグとやら何やらのポスターの件もそうだったが、地方自治体の女性観のお粗末さは全国的に予想以上にすごいのかもしれない。
私はわが宗像市が女人禁制の沖ノ島を世界遺産にしたがってると聞いたときから、気にはくわなかったが、せめてそれなりの理論武装や対処や展望は考えてるんだろうと、漠然と思っていて、それをいちいち論破するのもめんどいなあというぐらいに考えていた。
したらば最近、ちょくちょく市の側の人たちと話してみると、そういう心配も疑問もそもそも全然持ってなくて、ただ、そのことを問題にしたらややこしくなって、ことが決まらないからそっとしておこうというだけが唯一無二の対策じゃないかという感じで、今後がますます心配になる。
そして、対策というほどのことじゃないんですけど、こういう努力はしているんです、と説明されたのが、PRには女性職員を起用しているし、すべてに女性を使うようにしています、ということだった。あのー、それは逆に不快になる人もいるかもしれないですと申し上げると、本当に、えっという感じだった。
私はそこで「だって、たとえば日本人には入れない、行けない場所のPRに、日本人だからと言って使われたら気分悪くないですか」まではよかったのだが、思わず「豚肉屋の看板にブタがにっこり笑ってるみたいなもので」と言っちゃったのだが、言い方はたいそう刺激的でも、本質的にはやっぱり、そのやり方はブタの看板と同じと思うわけで、そうすると、それは今回のウナギ少女がうるんだ目で「養って」とつぶやくのと、ものすごく図式的には同じな気がする。
こういう、被害を受ける者、差別される者、虐げられる者、食われる者が自分から望んでそうしてるという幻想だか図式だか物語だかを、加害者や差別する側は本能的に本当に好きだよなあと思ってしまう。何だかもう私、仏教神話でウサギが焼き肉になって食べてもらおうと焚火に投身自殺する話まで、気に食わなくなってきたぞ、もうどうしてくれるんだ。