ちなみに。
◇さっきの書きこみの「紅旗征戎」は藤原定家の「明月記」だったと思いますが、私はむしろ、こっちの詩で知ってるというか、覚えてるのです。高校のころ読んだのかな。カッコいいでしょ。自分のしてきたこととはまるで逆だけど(笑)。
新古今集断想 ――藤原定家 安西均
「それが俺と何の関りがあらう? 紅の戦旗が」
貴族の青年は橘を噛み蒼白たる歌帖(カイエ)を展げた
烏帽子の形をした剥製の魂が耳もとで囁いた
燈油は最後の滴りまで煮えてゐた
直衣の肩は小さな崖のごとく霜を滑らせた
王朝の夜天の隅で秤は徐にかしいでゐた
「否(ノン)! 俺の目には花も紅葉も見えぬ」
かれは夜風がめくり去らうとする灰色の美学を掌でおさへてゐた
流水行雲花鳥風月がネガティブな軋みをたてた
石胎の闇が机のうへで凍りついた
寒暁は熱い灰のにほひが流れてゐた
革命はきさらぎにも水無月にも起ろうとしてゐた。
◇ネットから拾って来たので、ひょっとして間違いがあるかもしれませんが、だいたいこうだったと思います。