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ところでクイズの回答ですが

前に書いた、しょーもないクイズの答え、こんなにもったいぶらなくても、たいがいの人はもうおわかりだと思うんですよね。

最後に紹介した、ニキビ治療薬のプロアクティブのCMですが、これ実際に放映されるときは、あとふたつぐらいのバージョンも続けて並べて流されて、女の子がお母さんに感謝するのとかもあります。

それで、私の友人(大学の同級生)で中学校の社会科教師をしていた人が、旅先のホテルやなんかで、このCMを見るたびに、それこそもう火がついたように怒るんですよ。
最初は何をそんなにそこまで怒ってるのかわからなかった。言っとくけど彼女、私よりはずっと穏やかで優しい人なんですよ。まあときどき、私と同じに妙なことにこだわりまくるところはあるけど。

それで彼女の言うことは、「いいトシをした若者の男や女が『おとーさん』だの『おかーさん』だのと、ぬけぬけと人前で言うとかムシズが走るわ、鳥肌立つわ、親もそんなの聞いてにこにこしてるとかアホとちがうかもうほんと。それをこうやって流しまくる製薬会社もよくもまあ恥ずかしくないな。見識を疑う。情けない。常識がない。礼儀作法がわかってない。言葉遣いを知らなすぎる」と、まあ烈火のごとくにののしるわけです。

本来なら、国文学者の私の方がこういうのは先に怒るべきなのでしょうが、私はもうどっかこのへんのことはあきらめていて、少なくとも即座に反応はしない。今のところ、見ててぞっとしてテレビを消して、ののしるのは、「アルプスの少女ハイジ」の画像の権利を買ったかどうかして、家庭教師の宣伝してるあのCMの方です。ありとあらゆる意味で、あんなに身の毛のよだつ、おぞましいCMはない。「赤毛のアン」が最初に書いた小説を、ベーキングパウダーの宣伝に使われて落ち込みまくり、「生まれてくる赤ん坊の肌に小麦粉の宣伝の入れ墨がしてあったら、どう思うの?今の私はそんな気分」とギルバートに訴えるところがある。それをいつも思い出す。

第一、あらゆる点で、「ハイジ」と家庭教師のシステムの宣伝って、あいいれない真逆の精神じゃないの。それもわからない、冒涜の意味さえ知らない恥知らず、と、あのCMを見るたびに、私は頭に血がのぼるし、吐き気を催します。

いやいやいや、それはさておき。
友人が激怒する「いいトシをして、自分の親をおとーさん、おかーさんと抜かす若者」は、最近けっこう多いんですよ。ていうか、そうでないタレントやアスリートをさがすのって、けっこう難しいんだからやってみなさい、どうぞ皆さん。

それどころか、板東投手が在籍するソフトバンクホークスで言うならね、ときどき新人で「母が」「兄が」「父が」ときっちりきれいに言う選手がいるので、おっと思って注目してると、いつの間にか、「おとーさんが」「おかーさんが」と言い出したりしてるので、びっくりさせられる。

あれひょっとして、回りの先輩からからかわれたりするんじゃないよね。「なんやおまえ、父がーとか何気取ってツヤつけとんじゃ」とか、まさか言われて変わらざるを得なくなってるとか。妄想ならいいけど、ときどきそうとしか思えなくなる。

たしかホークスは、新人選手にインタビューの受け答えを教えるしゃべり方指導みたいなのをしてるって、どこかでちらっと読んだ記憶がある。それは大変けっこうなことだけど、そんならまず、家族を「父」「母」「姉」「兄」と言えぐらいの指導はしてほしい。私の友人のような人を激怒させないためにも、お願いしたい。

まあ世の中も変わるんだろうからねえ。あのCMに登場する親子だって、一般人かと思っていたら、そこそこ有名人のご家庭のようだし。国際的にも有名な方だったりするようだし。そこで「父」「母」の呼び方さえ教えていないっていうことなら、これって、外国ではどうなんだろうと、そのへんも気になってくる。たとえば英語圏だって少なくともいい大人が公式の席で「パパ」とか「マミイ」とかは言わないだろうが、今度同僚の英語の先生たちに聞いて見とこうかな。

藤井棋聖はまあそりゃ当然よね。「母」とさらっと言ってるのは。でも小心者の私は、いつも若者が「おとーさん」「おかーさん」と言うたびに、その場にいない友人の怒鳴り声が聞こえるようで、思わずびびっていたらしい。だから、「母が」ときれいに言う人を見ると、心のどこかで思わずほっとしちゃったのでしょう。

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カツジ猫