はびこる金蓮花。
◇田舎の家から持って来た絵をどこにどうかけるか、四苦八苦して今朝ようやく満足の行く場所に落ち着いた。ついでに散らかっていた仕事机をどうにか片づけて、すっきりさせた。さっそくカツジ猫がその上で寝ていた。
さっき庭でカツジのトイレを掃除していたら、夏にあまりに繁茂しすぎて、もったいないけどしかたがないと、大半をむしってしまった金蓮花がまたまた丸い緑色の葉をいっぱいに広げている。ちぎって捨てた山からも新しい葉が生えて来ている。この花ってこんなに強いものなのか、よっぽどうちの庭が好きなのか。油断すると庭中がこれであふれて海か池のようになってしまうのだ。
裏庭ではツワブキが鮮やかな黄色い花を咲かせ始めている。これはこれで、いいなあ。
◇クマの置き物をおいた居間で、ソファに転がって、どこかから出て来たモームの「劇場」の文庫本を読んでる。高校生のころ大好きだった小説だが、今あらためて読んでみると、ドリーとジューリアの関係とか、わからないで読んでいたところもけっこう多い。そしてやっぱり、とことん面白い。
私が内心で思っていることと、まったくちがうことをぺらぺら言って、このバカがドブにはまってくたばれと感じていても心からのように優しく笑って、にこにこ応対できるという、友人たちから気味悪がられる才能は、ひょっとしたらこの小説を読んでる内に身についたのだったかもしれないよなあ。
◇今、夕食のごはんが炊き上がるのを待っている時間を利用して、これを書いているのだが、あらためて思う、白いごはんって、どうしてこんなにおいしいのだろう。新米でなくても古米でも古古米でも、安い電気釜で炊いたものでも何でも私はおいしいと思う。私はグルメじゃないから、毒々しい真っ赤なソーセージなんかが実は好きで、これとごはんをいっしょに食べながら、好きなドラマをテレビで見てるだけで、もう人生に何も望まないとまで満足してしまうぐらいだ。
時々感きわまって、そばにいるカツジ猫に、おまえは、このごはんのおいしさを知らないなんて、かわいそうだねえと言ったりするのだが、人間でも最近はごはんを食べない人が多くなっているようで、こんなおいしいものをどうして食べないでいられるのか、その方がふしぎでしょうがない。