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ふう、やれやれ。

◇ノートを作るにはいたらなかったけれど、蕪村の講座は一応無事にすんだ。やっぱり、でも、芭蕉以後の俳人について、もっとすらすら頭の中で整理できるようにならなくちゃ。
でも、蕪村の句はやっぱりいいなあ。絵画的とか物語的とかいうのはよく言われるが、映画的でもあるよなあ。

  伏勢(ふせぜい)のしころにとまる胡蝶かな

なんて、敵と対戦中の兵士が身をひそめている、かぶとの首のところの「しころ」に、蝶々がとまってるというんだろう。たしかにちょっと、やりすぎのとこもあるが、「西部戦線異状なし」の映画のラストシーンみたいだよ。

  菜の花や鯨もよらず海暮れぬ

なんか、「八月の鯨」の映画をまた見たくなっちゃう。もちろんこれは、どっか四国か紀伊半島あたりのことなんだろうけど。

ただ、しょうがないんだろうけど、芭蕉の句のパロディが多いのは、なんかイライラするよなあ。なんでかは、わからないけど(笑)。

 襟巻の浅黄にのこる寒さかな

っていうのも、おしゃれだなあ。フランス映画のワンシーンみたいだ。マフラーの薄水色が春先の寒さを感じさせるなんて。
そう言えば「お菓子の好きなパリ娘」の歌の中に「空は五月の水浅黄」って一節もあったっけ。

◇この句とは反対に、だんだん寒くなって来るので、夏の洋服を片づけなくてはいけない。
夜は虫の声が家を取り巻いているし、庭先にはクリーム色の彼岸花が、泡立てたケーキのように咲いている。
カツジ猫は今日は私の椅子の毛皮のクッションの上で丸くなっていた。その真ん中の、「の」の字になってる中心にこぶしを入れたり出したりして私が遊んでいても、相手にしないで丸まったままだった。

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カツジ猫