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ほれ直す。

◇今日は玄海原発差し止め訴訟団「しこふむ会」の総会と講演会で、岡本良治先生の講演を聞いてきました。専門的で深い内容なのに、わかりやすくて明確で、いろいろためになりました。私自身もそうなのですが、原発や戦争法など、さまざまな問題に関わる中で、専門的な知識を持つ人たちは、こういった一般の方向けに話をしたり、ものを書いたりする中で、ものすごく鍛えられて行っているのではないでしょうか。

ところで、日本は非核兵器保有国中最大の余剰プルトニウム43トン(4万8000キロ)を保有していて、北朝鮮はせいぜい数十キロしか持ってないのに比べると、よそから見たらたいがい危険な国のようです。

岡本先生は、自然エネルギーに全面的に切り替えるのは現実的でなく、当面は火力発電に頼りながら、一方でエネルギーを使うのをなるべくひかえる生き方に切り替えて行くことが大切と考えておられました。なおCO2については原発でもゼロになるわけではないとのこと。

もんじゅでこけた、核燃料サイクル構想はもう完全に破綻していて、そもそもプルトニウムを燃やしても新しく生まれたりして、まったく減るわけではなく、むしろ増えるそうで、東電の副社長が無意味と明言したこともあるそうです。

そういった細かい詳しい話がいっぱいで、ぜひ、本にでもしてほしいと思いました。

◇そう言えば、先日見た海外ドラマ「ハワイファイブオー」では、ハワイに持ちこまれた核弾頭を緊急処理しなくちゃいけなくなって(以下ネタばれ)スティーブたちが沖合600メートルの海溝にヘリで投棄して、そこで爆発させ間一髪ことなきを得るんですが、おいおい、メガトロンだって深海からよみがえったんだし、そのくらいの深さと遠さで爆発させたら、絶対ハワイの海岸は全部放射能汚染されるだろうがとあきれたのよね。ほんとにアメリカのこういうところの感覚は、冷蔵庫に入ったインディ・ジョーンズにしてもそうだが、のんきだなあ。これだから太平洋の島々で核実験しても周辺には被害がないって、本気で思ってるんだろうなあ。

◇今夜、母のところに行ったら、昼に熱が出たとかでヘルパーさんたちが心配していた。夜には下がったようだが、食欲が落ちて、やはり喉の調子がよくない。苦しそうな顔で寝ているので、起こさないで、手足や喉をマッサージしていたら、急に目を開けてしっかりと私を見て、あらあんたねみたいなことを言った。そのあとのやりとりもしっかりしていて、帰るよと言ったら、ありがとうと言った。

痰がからんだりして、たしかに苦しいようではあるが、別に文句を言うでもなく、意識が乱れている風もなく、むしろ少し前に元気だったころ、ときどき怪しげな妄想を口にしていた時よりも、考える力が少なくなった分、頭がすっきりしているみたいで、まっとうな感じがする。そして愚痴も言わず恐れもせず、私や人に頼る風でもなく、持ち直すのかこのまま衰えて行って死ぬのかはわからないが、どちらにしても、自分にしかできない仕事に立ち向かう気分でいるような、覚悟を決めて我慢強い、堂々とした様子が見える。

これまでにも何度か、人はこうして弱って行って、いろんな機能がなくなるほど、精神の本質や人格の骨組みのようなものがあらわになるなあと、母を見ていて感じたことがあった。それをまた感じる。結局、母に残ったのは、明るさと強さと豪胆さと大らかさと、弱さとは無縁の優しさと、冷たさに近い落ち着きだった。ここに来て自分の母に向かって言うのも何だけれど、あらためて、ほれ直す。

ただ、もうちょっと薬を使うかどうかして、咳の具合が楽にできないかどうか、今度先生に聞いてみよう。

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カツジ猫