ぼくの、すきなうま
このまえ、ぼくがそふぁでねていたら、かいぬしがきたので、めをあけたら、まえにぼくが、おもちゃにするので、
かいぬしがかくした、ちいさいうまが、おいてありました。
ぼくは、ねむかったので、いまいち、きがのりませんでしたが、
せっかくだから、ちょっとてをだして、ころがしていたら、かいぬしは、
「そうか、これ、おまえがひょっとして、のみこんだら、
たいへんなことになるねえ」といって、また、どこかに、かたづけました。
かいぬしは、このごろ、うえのいえで、しなもんさんとねるので、
きがとがめるのか、わりとよく、おさしみを、わけてくれます。
ぼくがいちばんすきなのは、かわはぎです。とらふぐも、まあまあです。
しろさばふぐは、いまいちです。
でも、かいぬしは、ぼくに、わけてくれるたびに、
「わたしがすきなのは、あぶらがのった、かんぱちや、はまちや、まぐろなのに。
おまえ、こんな、かみみたいなさしみの、どこがいいんだか」
と、ぶつぶつ、もんくをいっています。
ほかのさかなだと、ぼくはみむきもしないし、
にくも、ちーずも、ちっともほしくありません。
「びんぼうしょうなのか、こうきゅうしこうなのか、おまえのこのみは、なぞだよね」と、かいぬしはいっています。
でも、かいぬしの、けんこうのためにも、ぼくのこのみのさかなのほうが、いいはずだから、かんしゃしてほしいと、おもいます。
かいぬしは、このごろ、よる、てれびをみながら、
ねこじゃらしで、あそんでくれます。でも、ぼくが、てーぶるにとびあがって、しっぽをてれびのまえでふるので、
「わ、いいばめんをみのがした」と、なげいています。
まいばん、あたたかいので、ぼくは、かいぬしに、
だかれてねなくなりました。
「はるがちかいんだねえ」と、かいぬしはいっています。