ぼくのみる、まぼろし(カツジ猫)
みなさん、おはようございます
きょうは「じむ」がやすみなので、かいぬしは、
「おふろは、うちで、はいらなければ」といって、
あさから、おふろのじゅんびをしています。
ぼくは、かいぬしが、うちで、おふろにはいるときには、
すこしだけ、あけておいてくれる、とぐちから、
はいっていって、かいぬしが、おゆにはいっている、ゆぶねに、
てをかけて、のぞきます。
まえにいた、「きゃらめる」さんは、みずあそびがすきで、
かいぬしが、おゆのなかで、てまねきすると、
おゆのなかに、かたまで、まえあしをつっこんで、
ながいこと、あそんでいたそうです。
ぼくは、こわいから、そんなことはしません。
おゆが、ぬるいときには、ゆぶねのふちから、のりだして、
すこしだけ、おゆをのんで、ひきあげます。
おゆがあついときは、そのまま、ひきあげます。
ふだんは、このかびんのみずを、のんでいます。
かいぬしは、おさらに、くだものだけじゃなく、
いろんなやさいも、のせているので、
まわりに、じゃがいもや、たまねぎがあります。
このまえのよる、かいぬしは、「おさしみ」をきって、
おさらにのせて、うしろのつくえにおいて、
ながしで、さらだをつくっていました。
ぼくは、おさしみは、だいすきだけど、
たべるのが、おそいし、へたで、
くわえそこなって、あきらめたりします。
だから、かいぬしは、ぼくが、おさらをのぞいていても、
ゆだんして、ほうっていました。
でも、そのときの、おさしみは、すごくおいしそうだったので、
ぼくは、くふうして、ひときれ、うまくくわえて、
よそにもっていって、たべました。
おいしかったので、またもどって、たべました。
なんべんもそうしているうちに、
おさしみは、ほぼ、なくなりました。
かいぬしは、ふりむいてみて、
「あれまあ」と、びっくりしていましたが、
「いつからそんなに、たべるのが、じょうずになったの。
そんなに、いっぺんにたべて、はくんじゃないよ」と、
しんぱいしていました。
ぼくは、たいへん、まんぞくして、
そのばんは、よくねむりました。
そのあと、もういっかい、そんなことがあって、
ぼくは、ごはんのときには、
おさしみが、もらえるんじゃないかと、
つくえのうえを、そわそわ、あるくようになりました。
かいぬしのごはんも、まいかい、てんけんにいきます。
かいぬしは、つくえのうえで、うろうろしている、ぼくをみて、
「おまえ、このへんに、おさしみが、ただよっている、
まぼろしか、しんきろうを、みてるんだろう。
よのなか、そういつも、うまくいくものではないんだよ」と、
ゆびで、くうちゅうに、「おさしみ」とかいて、ばかにします。
すこしすずしくなって、あめもおおくなりました。
にわには、また、くさがのびはじめました。
「せんたくや、そうじや、かいもので、いそがしいのに、
ほんとに、まいるよなあ」と、かいぬしは、
にわをみながら、なげいています。