1. TOP
  2. 岬のたき火
  3. 日記
  4. 衣裳缶でもいいらしい。

衣裳缶でもいいらしい。

◇若い人から、雑貨や服やその他もろもろを、お金を出せばひきとってくれる「ワールドギフト」という団体を教えてもらいました。

http://world--gift.com/

料金が少し高いですが、大切に扱って有効活用してくれそうですし、ぬいぐるみなどもOKなので、これは使えそうです。衣裳缶というか収納ケースに入れても可ということで、ひょいと思い出したのは、実家のクローゼットにある収納ケースのことで、引き出し型のは全部こちらに持ってきて再利用しているのですが、ふた付きのは使うところがないから処分するしかないかと、そのままにしていました。あれを活用できるなら、何かいろいろうれしいじゃないのさ。

というわけで、何だかんだで、少しずつ家は片づいて行ってます。昨日と一昨日は上の家の二階のクローゼットを整理して、捨てられそうなものを数袋階段の上から下に投げ落とし、今それを仕分け中。うん、先は見えないけど、前進はしている(笑)。

◇老人ホームの母の部屋が、この前からむっと暑くていやな臭いがし、何度かヘルパーさんに頼んでみたのですが、どうもよくならない。
これはしかたがないのかなと、あきらめそうになりながら、でもこれお見舞いに来た人がきっとびっくりしてショック受けるレベルじゃないかなと思ったので、脱臭剤のでかいのをいくつも買いこんだついでに、下の階にある本部の責任者の人にも相談して見ました。

脱臭剤は市販のものではなかなか効かなくて、自分たちは尿臭をとる特別な、少し高いのを使っているので、それをまいてみましょうとか言って下さいました。ヘルパーさんたちにも、またかなりしつこくお願いして対応を頼み、先日行ったら嘘のように部屋の空気はさわやかになり、臭いはまったく消えていて、心なしか母も快適そうに眠っていました。

いつも、とても親切に世話して下さるヘルパーさんばかりで、だからこそ文句を言うのは気が引けるのですが、かと言って、言わないと何も変わらないのだなあと実感し、それもちょっと言ったぐらいではだめなのかもしれないと思い、でも、たったこれだけのことに、骨がばりばり言うほど気分的に疲れました(笑)。

私はこういう、いい結果に終わったとき、ほっとして安心し、うれしいのもありますが、それまでに味わってがまんしていた苦労が、「やっぱり、あの不満は正しかったんだ」とあらためて思うことに、なぜかどっと疲れます。「どうもならないのかなあ」「わがままかなあ」「思い過ごしかなあ」と迷い悩んでいた時間がすべて、ものすごく何だかくやしい。電車の中で痴漢行為を我慢してる時の被害者の感覚って、これに近いかもしれない。

◇「安倍政権にひれ伏す日本のメディア」という、日本での仕事が長い外国記者のかたの本を読みました。知ってることも多かったけど、あらためて猿払という北海道の小さな町での慰霊の事業が右翼の攻撃でつぶされたこととか、とんでもない事実をいくつか知りました。

九条の会のチラシにも書いた、民進党議員と毎日新聞の記者の方の講演会に行ったとき、報道の自由について質問したら、記者の方の回答がまるで深刻さがなく、本当に危機を感じておられないのだとびっくりしました。毎日新聞はがんばっているし、その記者の方もとてもいい仕事をされているのに、こんなに現場は緊迫感がないのでしょうか。恐いです。

◇バオ・ニンの「戦争の悲しみ」は読み終えて、あらためて人は殺し合いをしてはいけないさせてはいけないと痛感したのですが、この自分の身体の皮膚をめくり心をしぼり、脳髄をかき出すようにして書かれた小説を、「戦争のエピソードはわりと、これまで読んだものと似ていて、ありふれているけど」と、変に客観的に述べてる人の感想とか読むと、その不感症みたいなぶ厚い皮膚の、鈍感さに気分が悪くなります(笑)。このへーんにビールの飲み比べするみたいに、人の話や小説をのんべんだらりと、寝ぼけた目で聞いたり見たりする人は、どんな現実をいったい生きているんだろう。

小林エリカ「マダム・キュリーと朝食を」も読みはじめたんですけど、これはまた、きらきらゴージャスでスリリングで、残酷なのにあたたかくて、もうひたすらに、素敵です。知的な豊饒さと、豊かすぎるほどの感受性、しかも読みやすくてスピード感があって。
人間の不幸さとともに罪深さ、特に動物への残酷な行為の数々、その中で平然と毅然と生きてる猫の独白は、動物文学としても超一流ではあるまいか。
まだ読みかけなのですが、読み上げるのが惜しい。もう一冊買って、猫好きの友人にプレゼントしたいぐらい。

Twitter Facebook
カツジ猫