ぼくは、すべりおちる(カツジ猫)
みなさん、こんばんわ
「よのなかは、せんたーしけんもちかいというのに、
そんな、たいとるを、つけたらだめ」と、かいぬしにいわれたけど、
なんのことかなあ。
このまえ、ぼくが、てれびのよこの、いつものいすで、ねていると、
かいぬしが、いつものように、とおりがかりに、ぼくをなでたので、
ぼくも、かいぬしのてをつかまえて、あそんでいたら、
よこに、ころがったはずみに、いすから、はみだして、
しいていた、もうふごと、ゆかにおちました。
ぼくは、おちないように、もうふを、つめでつかんでいたので、
もうふも、いっしょに、おちました。
「おいおいおい」といって、かいぬしは、
もうふをまた、いすにしいてくれたけど、
ぼくは、びっくりして、しばらく、ちかづきませんでした。
かいぬしは、もうふを、しっかり、いすに、おしこんで、
「これで、だいじょうぶとおもうよ。
それにしても、おまえ、ねがえりをうって、
ここから、はみでるとは、やっぱり、すこし、おおきくなったのじゃないの」
と、すこし、うれしそうでした。
かいぬしは、あいかわらず、まいにち、にもつのやまと、かくとうして、
すこしずつですが、かたづいていっているみたいです。
このまえ、かいぬしが、にもつのなかにすわりこんで、
「はあ」といっていたので、ぼくは、ちかづいていってみました。
そうしたら、ちらかっていたなかにあった、
なにかをいれていた、だんぼーるのはこの、
まるく、あなのあいたところから、
ちょうど、ぼくのかおだけが、のぞいたみたいで、
ぼくは、あしおとをたてなかったから、
かいぬしは、めをあげたら、はこのふたの、まんなかに、
ぼくのかおが、はまったみたいに、みえていたらしくて、
びっくりして、しばらく、だまってみていました。
ぼくも、だまってかいぬしをみていて、
しばらく、そのまま、じっと、みつめあっていました。
それから、かいぬしは、いきなり、わらいだして、
なにがそんなにおかしいのかと、おもうぐらい、
ながいこと、ひとりで、わらっていました。
「おまえったら、ほんとにもう」とか、いっていたけど、
ぼくは、なにもしたわけじゃなくて、
かいぬしの、わらう、きじゅんが、
ゆるすぎるんだと、おもいます。