ぼくは、ふゆふくが、きらい(カツジ猫)
みなさん、こんばんわ
ひさしぶりに、かいぬしが、ぶらしをかけてくれました。
ちょっといいきもちだったから、ぼくは、あおむけになって、
ちゅうに、もちあげたてをまげて、ぶらぶらさせていたら、かいぬしは、
「わー、そのてのかたちったら、わたしが、ちいさいこどものときに
『あさひぐらふ』ってざっしの、しゃしんでみて、
うなされそうに、こわかった、げんばくで、なくなったひとの
くろくこげた、あおむけのしゃしんの、
ちゅうにもちあげた、てにそっくり」となげきました。
「あのとき、ははのところに、そのざっしをもっていったら、
ははは、ことばはおぼえてないけど、
ちゃんとせつめいしてくれて、そうやってしんでるしゃしんのひとたちは、
わたしたちとおなじ、ふつうのひとだって、わたしにはわかった。
そういうてんでは、こわくはなくなったけど、
いまでも、めにやきついている。
きっと、ひろしまでも、ながさきでも、
いぬや、ねこや、うまや、ことりが、
いっぱいしんだろうねえ。
せんそうも、げんばくも、ぜったいにだめだよ」といいながら、
ぼくを、ひっくりかえして、せなかや、おなかをすいてくれました。
このごろさむいので、かいぬしはけいとのせーたーをきていて、
ときどき、ぼくのつめがひっかかります。
はずれなくなって、ぼくは、つかまえられたとおもって、
こわいから、きょうぼうになります。
「むかしから、おまえったら、まえあしのつめをひっこめるのが、
はかいてきなれべるで、へただったからねえ。
たいみんぐがわからないのかい。
すっと、にくきゅうのなかにもどせば、すぐにじゆうになれるのに。
うるゔぁりんさんに、ならっておいで」と、かいぬしはおこりながら、
かみつかれないように、ぼくのくびをうしろからつかんでおいて、
まえあしをつまんで、ふくから、はずそうとします。
きょうは、うまくはずれなくて、
ぼくは、めをつりあげて、ふうふうしゅうしゅうぎゃあぎゃあと、
わめきちらかして、かいぬしとけんかしました。
そして、ふたりで、ぐったりつかれて、べっどでねました。
つめがすぐ、ひっかかるから、
かいぬしのふゆのふくが、ぼくはきらいです。