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まだまだ暑い。

◇今日は福岡で仕事があり、秋だし風も涼しくなったからなあと思って、半そでのウールのセーターを着てみたのですが、まだまだ暑くて結局脱いでワイン色のTシャツにしてしまいました。
浄瑠璃の「平家女護島」の購読だったのですけど、なぜかどうしてか、昔の卒業生が相撲オタクで、卒論のテーマも江戸時代の相撲の本で、九州場所のとき相撲部屋の宿に取材に行って、当時の浜ノ島関がそのへんにいた猫を抱いている写真を撮って、私にくれた話などになってしまいました。彼女が「猫はお好きですか」と聞くと浜ノ島関は小さな声で「動物は皆好きです」と答えて下さったそうです。

とてもいい写真なのですが、口の悪い院生がそれを見て「優しさがにじみ出ているけど、こんな優しそうな人は横綱になるのは難しいだろう」と大変失礼なことを言ったのを覚えています。私は浜ノ島はもともと好きでしたが、それでますます応援する気になって、横綱にもならないかなあと祈っていました。とても技が上手な人でいい相撲をとっていましたが、三役にまでなって引退しました。
最近「英国一家、日本を食べる」という面白い本の中で、作者一家が相撲部屋を訪問したとき、それが浜ノ島が親方をしている部屋で、私は読んでいて大いに喜んだものです。
写真はまだ手元にあるんですけどね、アップしたら肖像権とか何とかで怒られるかなあ?

◇ハロウィンが近いので、窓と玄関につるす小さな飾り物がほしいと思ったのですが、福岡にはまだ出ていませんでした。なぜか宗像のいろんな店には、もうけっこうあるのですが。
しょーがないので、ハロウィンに関係なく売られていた、さかさにぶら下がっているこうもりのおもちゃを買いました。歯をむき出した不気味な顔がなかなかよろしい。中にはヒノキのくずか何かが入っていて、いい匂いがするそうですから、以前寝室代わりにしていたクローゼットの窓にかけます。

そして、高くて入るのをやめていた博多駅にある喫茶店で、やけになってお茶をしました。とはいえ、ひょっとしたらこのお店、ちょっと値段を下げたかな? 以前はどこのセレブが入るんじゃええかげんにせいというようなメニューだったと思うんですが。
ポテトチップがおいしかったので、おみやげに買いました。

楽しかったのですが、バスセンターに行くエスカレーターの窓から、この前行ったビルが見えて、こんなおしゃれな街のあんな立派なビルの最上階の廊下に、あんな野蛮で下品で腐敗臭がするような、特定の人にむけた「お断り」の紙がはってあるのかと思うと、遠くから見ていても、そこから汚い煙がしみだして、町全体を汚して行くような気がしました。まあこんなことを比べるのはまちがっているのでしょうが、私はたいがい放射能には過敏に反応する方で、あらゆる原発の再稼働にも建設にも輸出にもまったく絶対反対で、思っただけで背筋がぞくぞくするぐらいの嫌悪感と拒否感があるのですが、そんな私が言うと思って聞いていただきたいのですが、究極の選択をしろというなら(したくないけど、する気ないけど)、あんな紙がはられている町よりは、放射能に汚染された町の方がまだ耐えられるような気がします。人種差別が蔓延した社会で人類が最期を迎えるぐらいなら、原爆症で人類が死に絶える方がよっぽどハッピーエンドだって気がします。

◇この前、久しぶりに買ったコミック雑誌で、三浦しおんの「まほろ駅前」シリーズが漫画になっていて、面白そうだから買ってきて一夜で読んでしまいました。ついでに町田康の「くっすん大黒」も買ってこれまたベッドで笑いころげながら読みました。よいわあ。
中井英夫もなんだけど(唐突な展開やな)町田康も、異色でぶっとんでて、ぶっこわれてるように見えて、すごく正統でまともでしっかりしてるんですよね。文体も構成も、ええとその、精神も。だからとっても安らかに読めます。

で、今日は丸善で「まほろ駅前」のシリーズを買ったついでに、もう何十年も前に読んだ有吉佐和子の「青い壺」が新しく出ていて、ついまた買ってしまいました。実家の書庫にはあるのになあ。同じ文庫本が。これも、その高い喫茶店とバスの中とで読んでしまいました。昔読んだときは、あっさりしすぎてて物足らなかったのですが、今では大変楽しめるのは、私の精神の胃袋も年をとってきたのかしらん。
13の連作の中には覚えているのも忘れているのもあったけど、どれも今読んでも全然題材が古びていないのに驚いてしまいました。こんなもんなんだろうかなあ、世の中は。

そうそう、それで思い出したけど、喜んで玄関においていた丸っこい花瓶が、水が漏れるようになり、数日水につけておけばいいかもしれないとアドバイスされて、やってみたけど、ますます漏れるようになったみたいで、まあかたちが好きだから、花を入れないでいてもいいのですが、中に小さい竹の筒でも入れてやったらいいのかなと思ってさがしています。いっそ、そのへんの崖にある竹を、ノコギリで切って自分で作ってみようかな。

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カツジ猫