まったく品性下劣やなあ
五輪担当の大臣が、水泳選手の難病に対し、「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている。早く治療に専念して頑張ってもらいたい。また、元気な姿を見たい。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」とか述べたのが話題になって批判が殺到し、発言の一部だけ切り取るなとか例によって騒いでいる人もいるけど、もう何であれ、こういう件で「がっかり」という文言が出てきただけでアウトでしょう。
まあ私も、このホームページを管理して下さっている有能な若い方に「お身体を大事に、無理をしないで」とメールするたび、「要するにあんたがいなくなったら困るということでしかないやんけ」と内心忸怩たる思いにかられたりはするけどさ。
そもそも、葬式や病床や別離で泣いてる人見ると、いつも「あー、結局『あんたがいなくなって不便だから私困るよー』っていうことでしかないじゃんよ」とか思ったりする私だけどさ。
ただ、それでも、口に出して言うべきではないことってのがあるでしょうが。普通に。当然に。わかっててもなお。非常識を絵で描いたような私にこう言われたくもないだろうけど、それでもやっぱり今回の大臣に限らず首相副首相以下、今の内閣は、この点でたががはずれてる、口にしまりのない、たれ流し内閣だよ。
だいぶ前にプロ野球の某監督と某選手が、優勝会見か何かで、それはもう各方面にきちんと気をつかった、行き届いたもの言いを終始していたのを見て、首相とその周辺の発言や態度がいかに異常かが身にしみて、ある程度は傍若無人や変人でも許されるはずのプロ野球界の人たちがこんなにまともで、首相や副首相がひどすぎることを思い知らされるなんて、どういう国だと、変なところで暗澹としたのを思い出す。(ちなみに監督はともかく選手の方は、はちゃめちゃとかガキとか危険発言連発するとか言われて、ファンはいつもインタビューのたびに生きた心地がしないという柳田氏ですよ。それでも何の無理もなく自然に、慎重で配慮あることばを選んでいましたから、水準高いですよ。というか、首相と周辺が低すぎますよ。)
もっと言うなら、私は海外番組の、ニューヨークデザイナーバトル「プロジェクト・ランウェイ」を好きでよく見てて、その第三シーズンで、メンバーの中では最年長の、貯金を崩して最後のチャンスにかけた、変人ではちゃめちゃのヴィンセントってデザイナーが、敗者復活の最後のチャンスで、ランウェイ直前に何とモデルが事故にあい、別のモデルを使わなくちゃならないことになって、それはもちろん大変なアクシデントでハンディで、人生を賭けた勝負に出てる人としては命取りで、(以下ネタばれ)実際それで彼は落ちるし、まあ彼の場合はそれでなくても落ちたかもしれないんですが。
その、ぶっとんでて傍若無人で、常識も礼儀も知らなさそうな彼が、しゃかりき必死で最後の追い込みのデザインしてるときに、その知らせ受けて、「彼女は無事? 大丈夫?」としか言わないんだよね。わーおれどうしよう、ピンチやんなどと、声にも顔にもまったく出さない。頭にさえも浮かばなかったのかもしれない。
私は個人を基準に国民がとか国がとか考えないから、さすがアメリカとか、だから日本はとか言わないし思わない。だけど、わが国の大臣のこのたびの発言と比べると、ただもう、格がちがうとしか言いようがない。
「がっかり」だって? 人の生き死にの問題に。
ただもう、品性下劣だよ。
話変わって。
冬の寒い時に、猫が車のボンネットの中にもぐりこんでいて、うっかりエンジンかけると巻き込まれて大変なことになります。
そのために、運転前に車のボンネットをばんばんたたく習慣をつけましょうというCMを流して下さい、と自動車会社にお願いする署名です。
深刻緊急ではありますが、どこか少しのどかなお願いでもあり、ぜひとも皆さま、署名拡散してあげて下さい。
ちょっと間が空いたけど、おなじみ「野球天国」からの引用です。
収穫
ジャイアンツは勝ち運に乗っていた。もう十二点もリードしているのに、レオ・ドローチャー監督はなおも追い討ちをかけ、スクイズをさせて十三点目をもぎとった。
試合が果てると、ドジャースのプレーヤーたちは口々に敵監督のあこぎなやり方を罵った。ひとり監督のチャーリー・ドレッセンばかりは、おっとりと微笑さえうかべているではないか。
「くやしくないんですか?」と、プレーヤーの一人がとがめるように詰問した。
「よろこべ、みんな」とチャーリーは浮き浮きした声で言った。「今日こそはとうとうレオのスクイズのサインを盗んでやったぞ」