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もう大丈夫

いや、多分ね…きっとね。もう心配ないと思うから。

十五年前にこの小さい家を建てたとき、小さいシクラメンの鉢をお祝いにいただいた。ありがたく、何気なく、キッチンの窓辺においていた。それから十五年、特に肥料もやらないし、これといった世話もしていない。ときどき、虫がついてか葉っぱが元気なくなるので、穏やかな防虫剤をかけてやる程度だ。それだけでまた復活し、何と十五年経っても、何事もなく元気に花を咲かせる。

ところが、去年、ルリマツリの花を切っては小さいカップに入れて近くに飾っていたら、そこから何か虫がうつったらしい。葉っぱが次々網のように穴だらけになり、とうとう全部枯れてしまった。
 茎はまだみずみずしかったから、こんな葉っぱでも栄養はとっているのだろうと、栄養剤や防虫剤をかけながら見守っていたが、こんなになったのは初めてだし、とうとうこれもおしまいかと、やがて茎も消えてしまって、枯れた根のかたまりだけになった鉢をながめて、考えていた。

そうしたら、何だか小さな芽が出てすくすく伸びて、でっかい緑の葉っぱがついた。でも、一本だけではまだわからないと、そっとしていたら、次々に小さい芽が出始めて、あっという間に数本に増えた。
 きっともう大丈夫だろうと、見て見ないふりをしていたけど、やっとこうして写真をお目にかけることにする。

同じ時期にこの家に住み始めた猫のカツジと同様に、まだしばらくは、この鉢ともつきあうことになりそうだ。
 下さった方もそんなに長く咲きつづけていると知って、驚いておられた。

NHKの大河ドラマ「べらぼう」の第一回を見る。なかなか面白かった。田沼の時代って、思えば今と似たところも多いもんな、そう言えば。華やかなようで暗い、遊里のどことない貧乏たらしさも、よく出ていた。
 今日のタイトルの「ありがた山の寒がらす」は、「忘却バッテリー」の要くんが言う「ムリリンモンローなんですけどー」などと同様の当時のはやり言葉なんだけど、黄表紙がすごいと思うのは、「異類もの」という、擬人化ものの中で、この「ありがた山の寒がらす」みたいな流行語を擬人化して、お話にしてるのがあるんだよね。「辞闘戦新根(ことばたたかいあたらしいのね)」ってやつだけど、すごいセンスというか、抽象的思考というか。

画像はこれ。「ありがた山の」じゃないけど、類似の流行語の「のみかけ山の寒がらす」が登場してる(笑)。

あっ、そうそう、どなたかもXで指摘しておられたけど、蔦重が朗読してるのは、平賀源内の談義本「 根南志具佐ねなしぐさ)」ですね。これもやたら面白い読み物ですが。

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カツジ猫