七草粥もどき
一個千円にもなってるらしいキャベツが半個、冷蔵庫の中にある。ポークステーキにはいつもつけあわせるのだが、何だか恐れ多くて手がつけられない。情けないったらありゃしない。
七草粥も忘れていた。行きつけのスーパーはいつもいろんな七草粥のセットをおいているので、それを買えばいいと、たかをくくっていて、夕方行ってみたら棚はもうすっからかんで、ベビーリーフのサラダセットが七草粥の変わり種として売ってあるのが、二つか三つ残ってるだけ。まあいいかと買ってきて、炊飯器に残っていた、ひとかたまりのごはんを温めて生卵をかけて、くだんのベビーリーフとまぜて、にせ七草粥にした。けっこう、いけた。
余ってたお餅も、お雑煮やぜんざいにしていたら、みるみる減ってあっという間に片づきそうだ。でも、お餅って、すぐ食べられるから便利がいいな。スーパーでときどき杵つき餅を売ってるので、買っておくようにしようかしらん。
お屠蘇もついに飲み上げた。毎年、それ用に使うことにしている、白い急須もめでたく洗って片づけた。思えば昔、田舎の家には、それは立派なお屠蘇セットがあったんだよなあ。黒と金で神々しかったのだが、母が弱ってお手伝いやヘルパーさんや、いろんな人が家に出入りするようになって間もなく、誰かが盗って行ったのか、なくなってしまった。そのときはこちらも必死でてんやわんやの毎日だったから、ずっと後まで気づきさえもしなかった。ご先祖様には怒られそうだが、今私が持っていたとしても、かえって重荷だったかもしれない。この急須と、叔母が遺したグラスとを、毎年使う方が身の程にふさわしいだろう。
年賀状もそろそろ、おしまいになりそう。見覚えのないお名前の寒中御見舞のはがきに、配達まちがいかしらと確かめたら、教え子の一人のお嬢様らしく、母が十二月に亡くなりましたとの文面に、えっと驚いた。その他にも、今年で賀状はやめたいという方も多くて、出す相手は毎年減ってるはずなのに、何だか結局減らないのはなぜだろう。