やられた(笑)。
◇うっかりと、小津安二郎監督の、かの名作「東京物語」をDVDで見ていたら、途中でやめられなくなって、この忙しい時に真剣に全部最後まで見てしまった。時間が時間が。もう、やられたなあって感じである。
別に原節子の追悼ではなく、今やっている仕事に関して熱海温泉の描かれ方をちょっと見たかっただけなのだが、原節子きれいだなあ。そして、家やなんかは今よりずっと質素だが、家族の関係は今でも十分通用する話だなあ。それに、この年になると、悪役に見られそうな娘や息子の気持ちも、びしばしとよくわかって共感できるのがすごい。
◇この前からときどきネットで「おっぱい募金」という気味悪い名前を目にして、どうせろくなもんではあるまいと思いながらも詳しく知ろうとしないでいた。
そしたら、今日、署名の要請が回って来て、初めて知ったが、想像を絶するおぞましいものだった。以下の署名、よろしかったらぜひお願いします。本当にもう、アホかいなとしか言いようがないが、むろんアホかいなでは、すまされない。
◇これと、夫婦別姓に関する最高裁判決が、いっしょに耳に入ってくると、昔、名古屋の大学に勤めていたころ、途中の坂道で女性が裸で縛られて絶叫してるポルノ映画の看板がでかでか出ていて、大学の廊下には男女で数万円も初任給がちがう(むろん女性が安い)求人票がずらっと並んで貼られていて、どっちにもむしゃくしゃして、一見かけはなれているようで、この両者はどっちもたがいを支えあう存在だなと次第に心に刻みこまれたのを思い出す。片方があるから、片方があり、片方がなくならない間は、もう片方も絶対なくなることはないのだと。
◇最高裁の判決については、こちらのツイログにいろいろと参考になる意見があった。
実は私は少し前に、戦争法廃止の運動をしている仲間の一人の男性に、沖ノ島の女人禁制を考える会を作りたいという話をした時、その人は、むろん反対はしなかったのだけど、もう女性の権利は世界的にもかなり認められてきていて、今度の最高裁でも多分夫婦別姓が認められるだろうし、そういう趨勢の中では、女性以外のマイノリティへの差別への対策がむしろ急務ではないかというようなニュアンスの反応だった。私はそれで何となく、おお世界の趨勢はそうなりつつあって、日本もそれに追随しつつあるのかなと、少し楽観していた気がする。
やっぱ、甘かったかな。私にそう言った彼は、このことを、どう思っているのかな。
それにしても竹田恒泰氏のこの陳腐な感覚もなあ…ちょっともう、わが目を疑った。
https://twitter.com/norikan2/status/677291915444817920
◇上の家を片づけていたら、見つからなかった祖母の日記が出て来た。またちびちびと更新しようか。断捨離狂想曲もネタはいっぱいたまっているのに、なかなか書けなくてイライラする。
そして、昔書いた「水の王子」という小説も出て来た。この第四部の「海の」という部分は、私の女性としてのいらだちを書いたもので、読んでいてあらためて、「そうだ、女人禁制って、まさにこれだ」と身体が震えた。この長編小説は稚拙だが、まちがいなく私の人生と私自身を表現したもので、書けていないままの最終章を書く時が来たとも強く感じる。
◇さて、あとはまた、ばかばかしいお話を(笑)。
「スパイ大忘年会」という超笑えるハッシュタグの「まとめ」ができたみたいなので、ご紹介。せっかく007のダニエル・クレイグが出てるんだから、彼がモサドをやった「ミュンヘン」のメンバーも参加させてほしいなあ。
「コードネームはアンクル」、見納めにしたつもりだったら、評判がいいのか(でもいつも行ったときはガラガラの貸し切り状態なのに)、あちこちの映画館で延長したり上映回数が増えたりしている。それも明日までで終わりだろうから、いよいよ最後にもう一回行くか。しかし原稿が原稿が。
ネットでは、この映画のファンになったついでに、テレビドラマの旧アンクルにはまった人もそこそこいるようで、何しろ50年前のドラマだから、父親や母親に「見た?」と聞いている人も多いようだ。そうしたらお母さんが「イリヤ・クリヤキンが好きだった!」と間髪入れずに返す感じで、当時の人気がしのばれると思っている人も多い。
で、笑ったのは、イリヤだかマッカラムだか声優の野沢那智だかにはまった人が「お母さん、なぜもっと早く生んでくれなかったのですか」(リアルタイムで見たかった)と嘆いていたり、別の人は母親といっしょに映画を見に行って、「イリヤのイメージがちがうでしょ」と聞いたら、「でもこれはこれでいい」(私と同じだな)と言われて安心したり、「ソロは昔のドラマではもっと軽薄な感じ」と言われて「あれ以上に!?」と驚いたりしてるのが、どれもこれも妙におかしい。いいな、親子のそういう交流(笑)。
https://twitter.com/yurisuke_74/status/676783251562737666
https://twitter.com/algolcoffin/status/677330362549207041
私は何度も言うけれど、映画のヘンリー・カヴィルは、よくがんばってソロになってると思う。カッコよくて魅力的だし。しかし、ドラマのロバート・ボーンの演じるソロ
の、あのどういうか、したたるような柔らかい色気と軽さは何かと比べられるものじゃないからなあ。
下ので、吹き替えの声も聞けます。イリヤのマッカラムも的確な演技してるし、人気が出たのは痛切によくわかるけど、それはソロのボーンがいたからで、単体ではあれだけ魔性の魅力(笑)みたいなのは生まれなかったのじゃないだろうか。まあ「大脱走」の映画でも魅力的だけど。
https://twitter.com/ikaffair/status/677491051108536322
https://twitter.com/ikaffair/status/677471698900291584
ところで、さらにくだらん話だが、映画ではカヴィルのソロさんが、ときどき、立ったまま身体を斜めに倒してこっちをのぞくような、まあたしかにソロっぽい、しぐさをする。
かわいらしいなと思っていたら、この前の夜、椅子で寝ていたカツジ猫が起きて座って、キッチンにいる私を見るのに、それとそっくりに、身体を一方にかしがせて、こちらをじっと見たので笑った。
今までそんなしぐさをしたことは一度もないのに、彼なりに研究しているのだろうか。