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やれやれ

◎大丈夫かしらんと思っていた名古屋での温泉紀行の講演も何とか無事にすみ、昔教えた学生も聞きに来てくれていて、いっしょにお茶を飲んで楽しかった。交通史や理系の先生方ともお話ができて、面白かったし、ためになった。自分自身の論文の計画も立ったし、いいことずくめで、めでたい。

九州で石炭をたいているという記事が、江戸の紀行にちょこちょこありますよ、という話をしたら、それをきっかけに、先生方が、塩田の燃料にも使ったのだろうかという話をされ、中国地方の日本海側も瀬戸内側も、あまり森林がないのは塩田や製錬に使って燃やしたのが大きいかもしれないと言われていた。分野のちがう先生方との話は、こういうところが勉強になる。

◎めでたくないのがカツジ猫で、何が気に入らないのか、最近とみに、トイレの近くの床の上でうんちをするようになった。前の飼い主さんが音を上げて見限ったのは、このせいで、うちに来てから一年半、おさまっていたのが、何かのきっかけで復活したらしい。

どこでもするわけではないし、それほど片づけに困るわけでもないし、何より少々怒ってもまったくききめがないことは、前の飼い主さんの苦労で実証済みなので、私はまったく怒らないでいた。
しかし、一度は言っておこうと思ったので、先日の夜、うんちを片づけた後で、「カツジ、ちょっとおいで」と普通の声で言ったら、何かを感じたのか、すたこら逃げてベッドの下にもぐりこもうとした。

こういうことは機会を逸してはまずいと思ったので、ふさふさしっぽをつかまえて引っぱり出すと、「ぎゃあ!」と怒ったが、かみついたりするわけでもなく、何となくうしろめたい風で抵抗しないので、そのまま黙って抱いていって、テーブルの上に座らせ、私は身体をかがめて正面から見つめ、「あのね、カツジ」と静かに言ったら、顔をそむけて目をそらすから、「こっちをごらん」と無理に顔を正面に向けておいて、「あのね、一度しか言わないからよくお聞き。私は○○さん(前の飼い主さん)より、本当はずっと恐いのよ。わかっている?」と言うと、ふきげんな怒っている顔で、しかもびびっているとしか思えない風情で、目をそらしながら、「ム~ウウウウ」と、こもった声で抗議した。

「これが最初で最後だからね。二度と注意はしないからね。いいですか。トイレはきちんと使いなさい。ずっと、こんな失敗を続けるなら、もうおまえを飼うのはやめる。わかっているよね。私はとても恐いのよ」と、静かに低い声で言い聞かせると、あいかわらず微妙に目をそらしたまま、「ム~ウ、ム~ウウウ」と不機嫌とも訴えとも泣きごとともつかない声で鳴く。
妙に笑いたくてたまらなくなったのだが、笑うと教育上よくないと思って「忘れたらいけないよ。よく覚えておきなさい」と、おごそかにしめくくって、放免した。

それから数日大丈夫だったが、まだ数日に一度失敗することがある。このまま、どっちに転ぶか微妙なところだなあ。何がきっかけなのか、何が原因なのか、いまひとつわからないので、もう少し様子を見よう。どっちにしろ、こいつと縁を切る気はまったくないので、かまわないのだが。

このごろ、ときどき、じゅうばこさんのいる新しい家に連れて行っている。とても幸せそうに、カーペットの上でころころしている。じゅうばこさんは泊らせたがるのだが、トイレが不安なので私は連れて帰っている。

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カツジ猫