よかったあ!!
以前にわが家の庭に、ノラ猫さんが子どもを生んだ。糞害に悩まされていた私はなぜそうなったかわからないけど、腹だちまぎれに、その子猫二匹を、お母さんから取り上げて、物置で育てた。
詳しいいきさつは、ここに書いてるが、とにかくこの二匹の子猫は、目が開いたばかりの小さいときから、すばらしい申し分ない性格で(だからDNAのたまもので、私の育て方がよかったわけではない)、それはもう立派な子猫に育って、それぞれ最高の環境のおうちにもらわれて行った。
今はもう新しい名前をもらっているが、黒猫のみなきちも、きじ猫のじゅんぺいも、もう気質のよさがにじみ出るような立派な猫たちで、大きな声では言えないが、特にじゅんぺいなんて、その自信にみちて、決して不幸になりそうもない美猫ぶりが、どこかキムタクに共通する憎たらしささえあったのだ。
最新情報では、みなきちは先住猫のお姉さんと広い野原をかけ回り、じゅんぺいはうちの猫さえ持っていないキャットタワーを買ってもらって、その上から人間を呼び、来ないと降りてきてかみつくという、傍若無人ぶりを発揮しているとのことだった。
最終的に婿入り先が決まる過程で、もらって下さるかもしれなかったおうちのひとつが、三匹の先住猫がいて、スコティッシュホールドさんがちょっと気難しくて折り合いが心配だが、メインクーンさんは、すばらしく性格がよくて何の心配もいらないんですよね、という話だった。結局別のお宅にもらわれたのだが、それ以後も、その三匹の猫さんのことは、飼い主の方とお会いするたび、話題になっていた。
先日、お隣の方が「新聞にチラシが入っていて、カツジくんに似ていてどきっとしました」と見せて下さった、チラシの写真と迷い猫さがしの呼びかけが、何とそのお宅のメインクーンさんで、ひとごとではなく心配で、生きた心地がしなかった。
亡くなった猫ならまだしも、「こちらが先に死ぬよりいいですよ」と慰めることもできるが、いなくなったとなると、かけることばが本当にどう考えても見つからない。十キロもあるという大きなメインクーンだから、そのへんにいたらわかるはずだし、誰かに連れて行かれたんじゃないかとも思ったりして、毎日、私がへこんでいた。
そうしたら、別の方から、「ひと月ぶりに戻って来たそうです」という、うれしいうれしいお知らせがあった。どういういきさつで帰って来たのかわからないが、本当によかったよう。
ひょっと、チラシを見ていた方で心配しておられた人が、ここをごらんになっていたら、うれしいニュースを広めて下さい。昨今いろいろろくなことがない世の中だから、せめて皆で幸せになりましょう(笑)。
それにしても、こんなに身も世もないくらいの気分で嘆いていても、かけることばって見つからないものだなあ。自分の甲斐性のなさに情けなくなっている。神仏にもだが、何よりも立派に戻ってきたメインクーンさん自身に、感謝してもしきれない。飼い主さんも私も、本当に救ってくれた。
それでも猫のことだと、自分の体験からある程度心境もわかって、かけることばが見つからないまでも、見当違いの慰めや励ましをする心配はまだあまりないからなあ。少し前にガンになられた若い研究者の女性に、「セックス・アンド・ザ・シティ」のDVDを送ってしまった私は、まちがっていたかもしれないと、今でもびくついている。その方はもう全快されたのでめでたいが、やっぱり最近同じ治療で髪が抜けるかもしれないと苦にしておられる人に、同じDVDを送りたくなっているけど、やめといた方がいいのかな。上品なご家庭のようだから、サマンサのフェラチオ場面なんて、ご家族で見るのは、やっぱりまずいのかもしれない。あの一連の話って、ほんとにいろいろ元気づくんだけどな、別に病気でなくっても。
ところで六週間のお留守番を立派にやった猫のカツジですが、私が帰って来たので落ち着いたようでもありますが、留守中世話して下さった方々のことも、どことなくまだなつかしがっているみたい。
いろんな人となじめるのがわかったのは、とてもありがたかったのですが、この長期の不在で確実に彼の心の一部分をよそに持って行かれた気がします。あーあ。海外ドラマの「ハワイ・ファイブ・オー」を見ていたら「守りたかった人」とかいう回で、メンバーの一人が、イラクに派兵で行ってた間に恋人を、別の男に取られて、その結果彼女を不幸にしたと嘆く場面があったけど、いらんこと身につまされちゃったじゃないか。