よかれあしかれ、
◇海外ドラマ「ボディ・オブ・プルーフ」は、女性検死官のお話ですが、よかれあしかれ、とてもまじめでまっとうですねー。ヒロインがちょっとシャーロック・ホームズ風に人づきあいが下手で非常識なのを除けば、それともちろん、グロい死体がいっぱい出てくるのを除けば、道徳の教材に使っていいような、まっとうさ。
安心して見られるっちゃあそうなんだけど、同時並行で見てる「デスパレートな妻たち」の、ヒロインたちのはちゃめちゃぶり(そして、最終的には、ちゃんとまっとうなセンにまとまってく)に比べると、ちょっと刺激っつうか、振幅の大きさに欠けるかも。まあ、良心的な佳作ではある。
◇検死官と言えばスカーペッタシリーズの最新作ミステリ「血霧」は、わりと面白かった。このシリーズ、もう超かしこい、超エリートたちが、感情的にも豊か過ぎて繊細すぎて、パワフルにピリピリしてるから、全編、静電気のばちばち言ってるドアノブをつかんでるような緊張感で、読んでてだんだん、たのむからもうちょっと、えーかげんに生きてくれと言いたくなるのだが、まあ、そこがいいんだろうからしかたがないか。
◇キャラママさん。
免震棟の「たまちゃん」、なつかしいです。それにしたって、こんなにたくさんの動物たちを、飼い主ともどもあれだけの悲劇に追いこんでおいて、まだ、原発の再稼働をあきらめきれないらしい首相はじめ推進派の人たちの考えって、何なんですかねえ。
何十年か何百年かたった後の人類から、「いったい何を考えて、そんな狂った選択ができたんだ」とふしぎがられたとき、まったく説明できないだろう自分に自分でイライラしてます。原発の現場で働く労働者、警戒区域で生活を失った人たち、さまよう動物たち、さまざまの苦しみが、これだけびしばし想像できる私にですよ、こんな中でなおかつ、原発の再開があり得る、再開したいと執念を燃やす人たちの気持ちが想像できないはずがないと思うんですが、どうやっても想像できないんだよなー。
何だかだって、結局、愛してないんですかね、自分の家族や暮らしや国を。大切なものなんてないんですかね、案外、実は。未来も、他人も、どーでもいー、うすーい毎日送ってるんですかね。
ええ、暴論でしょうよ、失礼でしょうよ、百も承知よ、でもほんとに、そんなことでも思わなきゃ、理解できないんですよ、この期に及んで原発で電気作りたいと思う人たちの心ってのが。