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アネモネって強い

昨日、町に行く用事があり、暖かくなったので、着て行く服をひっくり返して何かないか探していたら、桜の模様の入ったスカートと、もしゃっとして感じはいいのだけど、薄手のような厚手のような、着ていられる時期が毎年微妙に短いスモックが見つかりました。どっちも全然忘れていた。お金のある時期に買ったもので、かなりカッコいいし、しばらくはこれを着倒すかな。
 それにしても冬物をそろそろクリーニングに出さないと。

足の調子がよくなってからと、放っておいた庭は、草が茂りっぱなしなのがくやしいが、あちこちで花が満開になっている。紹介したくても追っつかないぐらい。
 町のあちこちでは桜も咲きだして、最高に美しい季節になって来た。

気まぐれに買って植えたアネモネが、案外丈夫で次々に花を咲かせるので、こんなに元気な花だったのかと、ちょっと驚いている。そもそもこれまでアネモネなんて植えたことなかったのに、何でそんなにはかない弱い花と私は思いこんでいたのだろう。思い返してみていると、小さい子どものころ読んだ講談社文学全集のギリシャ神話のせいだったかも。

たしか高津春繁さんだっけ、そうそうたる大文学者の翻訳で、格調高くて魅力的で、それは素敵だったから、子どもの私は愛読していた。その中にアネモネの語源になった美少年アドニスの話もあって(ヒヤシンスの語源の美少年ヒュアキントスの話ももちろんあった。彼はアポロに、アドニスはアフロディテに愛されるが、円盤投げの遊びのときの事故やら、イノシシに襲われるやらして短命で死ぬ。こんな話を本当に普通に読んでいたから、同性愛に対する抵抗感なんて、はなから生まれようはずがなかったな。夢中になったりはまったりさえせずに、ごくあたりまえの話として読んでいたもの。笑)

アドニスの話では、美と愛の女神アフロディテが若い恋人アドニスに夢中になって、髪も服も乱していっしょに野山をかけまわって狩りをするなんて今思えばなかなか印象的な描写もあったけど、あれは高津さんの脚色だったのかしら(ネットで見たら、でもなさそうね)。

アフロディテには当然夫もいるわけで、鍛冶の神ヘーパイストスだけど、その彼が嫉妬で差し向けたって話もあるらしいが(恋人の軍神アレスとも?)、とにかく狩りのときに飛び出してきたイノシシに突かれてアドニスは絶命する。嘆いた女神は彼をそのまま花に変え、それがアネモネだとか(実際には今の花とはちがうって話もあるけど)。

で、その章の終わりに、高津さんは、「しかしこの花は、アドニスと同じに短命です。野を渡ってくる(このへん、記憶があいまい)風にふれただけで、花びらがはらりと落ちるのですから」と書いていらした。素敵なしめで、それだけ記憶に残ってしまい、私の頭の中ではずっと、アネモネは美しいがひよわで繊細で長生きできない花だった。ちゃんと見たことさえなかったのに、だから敬して遠ざけていた。

今、あちこちに適当に植えた鉢で、次から次へと赤や青の花を力強くも鮮やかに開くアネモネを見ていると、うーん、まあ女神といっしょに狩りをして野山を走り回って、最後はイノシシにやられるんだから、そうそうひよわな美少年のはずないやんね、と認識を新たにしている。

オリンピックの選手の参加資格が議論になってる。もうどう考えてもしっかり世界戦争になってる中で、開き直って次から次へ被害者風の発言しているロシアもプーチンもがまんできないけど、さりとて、個人の政治的判断で参加を許すかどうか決める、とか言ってるのが、あのバッハ会長というだけで、それも何だか信用できない。

私はしゃもじを抱えてウクライナくんだりまで行って得々としているわが国の首相にも、その内閣への支持率が高まってるとかいう国民にも、桜の花をめでまくり日本の景色をめでまくりながら、福島だけ見てもそういう花や景色をあれだけ傷つけ苦しめ危機にさらす原発の再稼働には知らん顔してるマスメディアにも、皆うんざりなんてもんではないが、ピンポイントでむかつかせてもらうと、ウクライナへ行ったしゃもじ首相の様子にすべて、そこはかとなく、「アメリカの側についてるから大丈夫だもんねー」という安心感が漂ってるのが、もう腹たってたまんないのよね。何にせよ、今はどちらがどうだか、あらゆる問題で慎重に真剣に細かく判断して行動も発言もしなくてはならない時だろうによ。
 先日深夜の国会中継放送で、れいわの山本太郎が、猫に小判どころではない、あんな首相にはもったいないぐらいの理路整然ぶりで、首相の外交姿勢のいいかげんさ、不勉強さ、非常識さを突いていた。ほれぼれするほど、すべてもっともで、こういう首相に自分たちの運命をまかせているのなんて、西鶴の小説(西鶴諸国ばなし)の、春の諏訪湖の「御神渡り」以後に氷上を渡るような危うさだよと、つくづく思った。私はいろいろ言いたいことはあっても、自公政権の一番いやがる選択をするという意味で、選挙は当分すべて共産党一択に決めてるのだが、もう一票でも票があれば、絶対にれいわに入れると思うほどだった。棄権する人の票、誰かくれたらいいのに。

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カツジ猫