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イヤリング。

◇おめかしして授業に出かけて、車の中でふと耳をさわると、お気に入りの、そこそこ高かった、きれいな青いイヤリングがなくなっていた。
ぎゃーっと思いながら、残った片方をもぎとって、イヤリングなしで授業をして、帰ってすぐ、家の回りをさがした。車に乗ってしばらく走ってから気づいたので、よそに落としてるはずはない。

しかし見つからない。家の中にもない。私が帰って来たので浮かれて、床の上でころころしているカツジ猫をふまないように気をつけながら、あちこち見たけどやっぱりない。
もう何かキツネにつままれたようで、洗面所に行ったら、洗濯機のそばに落ちていた。よかったあ!
うれしさのあまり、そばにいたカツジ猫をつかまえて、抱き上げてそのへんを踊った。やつは、全然面白くないと言った顔をしていた。

◇海外ドラマの「デトロイト1-8-7」全9巻はこじんまりだが、きゅっとまとまった悪くない作品だった。ラストのハッピーエンドは異論のある人もいるかもしれないが、集団で確信犯でやれば神が許したもうこともあるだろうというのは「オリエント急行殺人事件」でも認められた古典的な筋書きだと思う。

◇手持ちのDVDを整理していたら、ずっと前にアマゾンで買ってちゃんと見てないままだった、「ナポレオンソロ2」が出て来て、一応見とこうと入れてみたら、ちょっと驚いた。これは主演のボーンとマッカラムが人気シリーズの「ナポレオンソロ」がテレビで終了した15年後という設定で、実際にも多分そのくらいの時期に作られている。しかしよく作ったなあ、こんなほとんどファンサービスの自主上映作品みたいな映画を。制作者たちも余裕があるというか何というか。

40代か50代になってる主役二人は、もともと演技力もあるせいで、まだそこそこカッコよくて、最近の若いファンで、これを見てはまったとネットで書いてる人もいる。ただ映画としては、「仮面の男」の老三銃士ほどは老英雄の魅力を売るでもなく、うちわ受けに徹してはじけまくるでもなく、ちょっと生煮え、中途半端な作品である。

それでも私が驚いたのは、公開中の「コードネームはアンクル」が、大人気のテレビシリーズだけでなく、こんな、さほどのものでもない映画まで、しっかり押さえていたのだということがわかったからだ。
今回の映画のイリヤが妙に女性のファッションに一家言あってセンスがいいのは、面白いけどただの無駄な冗談かと思っていたら、この「ソロ2」でアンクルを引退してたイリヤは(もちろん復帰するんだけど)ファッションデザイナーで大成功してるのだよな(笑)。
そして敵の本拠地に総攻撃をかける上陸用舟艇の場面は、これまた今度の映画とほぼそっくり。「コードネーム」の方で、クライマックスとなるべき総攻撃の場面をコマ割りであっさり片づけるのが、かえって洒落てるとか言われてたけど、もともとあれは、「ソロ2」へのオマージュとして作られていたのか。

私は気づかなかったのだが、テレビドラマのテーマソングも、ソロがトラックの車内でラジオを選局してるとき、一瞬流れたのらしいし、もうそれ江戸時代の前期戯作なみの「わかる人だけにわかってもらいます」の精神と言っていい。
本当にオリジナルを愛してくれている映画だなあと、あらためて感服してしまった。そろそろ上映終わりそうだが、敬意と感謝をこめてもう一回行っとこうかしらん。時間ないけど。

◇でもこのDVD見て最高に驚いたのは、特典で、ロバート・ボーンの吹き替えをしてた声優の矢島正明氏が映画全体、二時間近く、コメンタリーで当時の思い出、役の解釈などをずっとしゃべってくれている、その声の若々しいなめらかさ、滑舌のあざやかさ。30代と言っても通用するんじゃないか。83歳かそのへんになられてるのですが、どっこも、ちょっとも、気配も、かけらも、もつれたりこもったりすることがない。じじむさいとこなんか、まるでなく、おしゃれで軽やかで、切れ味がいい。

しかも、そのしゃべってる内容がまた、気配り、鋭さ、言葉の選び方、手練れの剣客のように、もう寸分のすきもない。私は最近自分自身も、ちょっとしゃべり方が昔ほどしっかりしてないけど、まあトシだからしゃあないかと自分を甘やかしてたんですが、だめだ、年齢なんて理由にならないわ。こんなシャープで流暢で中身もつまった80代のしゃべりを聞かされたんじゃ、そんな言い訳とてもできない。

あのさ、この夏さんざん聞かされた意味不明、発音不明瞭の首相のしゃべりで耳が拷問にあったような思いをさせられたのは、まあ内容は許せないにしても、滑舌はその道のプロじゃないからしかたないと思うのね。でも最近のテレビやラジオのタレント、キャスター、俳優、アナウンサーは一応専門家のプロでしょうが、それが平気で声は悪いわ、とちるわどもるわ、あげくのはてには、それを噛んだとか何とか大っぴらに冗談にするわ、もう聞くに堪えないものを日夜聞かされてるわけですよ。だいたい、うちの母はサザンオールスターズが出てきたとき、彼らの日本語を死ぬほどいやがって、最後まで嫌いでしたが、今はもう、あのくらい珍しくもない状態で。

矢島さんの、決してソロではないんだけど、どこかソロをもしのばせる、快いしゃべり方を聞いてると、しかも内容も整って充実して、無難なことを言ってるのではないのに不快さはない話をずっと聞いてると、本当に耳が洗われるようでした。いやもう、いい男とベッドインしたような気分のよさでした(笑)。

◇ところで、福岡教育大学の新しい学長は、教授会の投票も今回はしないまま、学長選考会議で現執行部の中のお一人に決定したようです。

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退職した私にはわからないことが多すぎて何とも言えませんが、ある程度こうなるのは予想出来ていたのではないかと思っていたので、いろんな先生と話してみて、絶望感や無力感の強さにむしろ驚いています。
これは新学長をはじめ、運営する方々も大変ではないかと思うし、いろいろと難しい状態になるのではないかと気になります。
いろんな意味で、一人一人の生き方が問われる状況になってくるのではないかと苦しいです。人間の本質があらわになり、真の価値がわかる時なんて、できたら永遠に来ない方がいい。

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カツジ猫