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ケアハラ?

気温が32度だか33度だかの猛暑だが、風はあるので案外涼しい。それをいいことに死んだ気で、庭に茂っていた野バラとジャスミンを刈り込み、表庭のアジサイの大群を少しだけ見られるようにしました。上の方がもうすがれかけているので、思い切って切ってきて、部屋に飾りました。長持ちしてくれるといいがなあ。ユリやバラとはまた別のゴージャスさがあって、華やかな空間を作ってくれます。が…庭と同様、室内も最近散らかり気味なので、いまひとつゴージャスさが出ないので、そこは残念。

庭ではまだまだバラとユリが咲き誇り、桔梗も満開だし、そろそろカンナも咲きだして、ジンジャーも生い茂っている。何かもう、恐いよー。植えたはずなのにと首をかしげていた、カラーの球根もちゃんと全部花が咲いた。

ジャスミンと野バラを切るとき、お隣に葉っぱが落ちた気がしたので、ちょうど帰ってみえた奥さまにおわびしたついでに、「体調がぱっとしなくて、なかなか刈り込めなくて」と言い訳すると「最近そういう方が多いようですよ。やっぱり、この気候だから」と同情して下さいました。と言ってもまだ刈り込みが十分ではないので、おたがいの姿も見えず、茂み越しの会話です(笑)。

でもそれで、かえってよかったかも。実はいろんな通知とか持って来て下さる民生委員の方が、親切でいい方で、いつどんなお世話になるかもわからないし、感謝しつつおつきあいしてるのですが、毎回参ってしまうのが、顔を見るたび「おやせになりましたね」「お太りになりましたね」「お顔の色がいいですね」「お疲れのようですね」と必ず評して行かれるので、何だかケージの中にいて健康状態を確かめられるニワトリになった気分がしますねん。しかも、それが別に当たってない。ふらふらしてるときに「お元気そう」、体重が減ってるときに「お太りになりましたね」、元気なときに「お顔の色が悪いですね」と、もうマイナンバーカードなみの、とっぱずれ具合。それでもこちらは動揺します。

いつ死ぬかわからない年寄りや、病人まがいの虚弱者にかけることばって難しいのは承知してますが、よっぽど自信があるときでなきゃ、いやあっても、普通そういうことは思っても言わないもんじゃないのかなあ。
 思い余って友だちに話すと、「あいさつのつもりなんでしょうね」とのこと。それにしたってなあ。
 たまにしかえしに、「あら、お顔の色がよくないですね」とか言ってさしあげたらどうなるんだろうとか思うんですが、今のところは思いとどまっています(笑)。

大昔、まだ若い大学院生のとき、初めてやった非常勤のバイトが看護学校の文学の授業で、そこの担当者が見るからにしっかり者の婦長さんだったのですよ。今でもうっとり思い出すほどすてきな方で、私のような若造でも、まるで大先生のように、礼儀正しくきちんと扱ってくれました。することなすこと、実に的確、にこやかだけど感情をあらわにせず、私はよく大学の友人たちに、「明日は死のうかという衰弱しきった患者さんにも、びくともせずに『お顔の色がよろしいようで』と自然に真剣に言ってのけられそうな人」と言ってましたっけ。最大級のほめことばでした。

医療や介護の関係者って、基本そうあるべきじゃないかしらん。現に私が定期検診に行くかかりつけのお医者さんたちも、歴代きちんと病状の説明はしても、適当に顔色がいいの悪いの太ったのやせたの元気そうだの死にそうだのとはおっしゃいません。それが基本じゃないですかねえ。

いや、ご本人にまずは直接申し上げるべきことではあるのでしょうけれどね、でも、これをお読みになってる方の中に、ひょっとそういうボランティアやら何やらに携わっておられる方や、そのお知り合いのかたがいらしたら、あんまりかんたんに人の顔色やなんかの評定を本人に向かって言うのは気をつけていただけたら本当に幸いと広めていただけませんかねえ。あれって、一種のセクハラじゃないのかしらん、今のご時勢では。「君、今朝は髪がよくまとまってるね」「化粧ののりがいいね」とかいうのと、どこがちがうんでしょう。

まあいいや、そんなこと、防衛予算やマイナンバーカードに比べたら、どうってことないことだから。
 それにしても、私もうずっと前に「河野太郎だけは、人の上に立たせちゃいかん、もちろん首相なんてもってのほか」と断言してたと思うんですが、最近ますます、その思いが強くなって、人の上どころか、こんな人には動物もまかせちゃいかんという心境になりつつあります。少なくともですよ、私が犬猫の里親を探していたら、こんな人には絶対に犬も猫もハムスターもインコも渡しません…でも、ひょっとして飼ってたりして。いやだなあ。

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カツジ猫