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シュークリームと言えば

亡くなった母がよく言っていた。「八月になったら、ちょっとは涼しくなる」と。故郷ではちょうど、宇佐神宮のお祭りが七月末から八月初までの三日間だ。それが終わったら、どことなく暑さがやわらぐというのが母の持論だった。

そうなのかどうか知らないが、ここ数日早朝や日暮れに水をまいていると、思いがけないほど涼しい強い風が吹いて来て、あれ?と思わず肩の力がぬける。
 とは言え、昼間はやっぱり地獄のように暑い。地獄は知らんけど(笑)。火の輪くぐりのライオンみたような気持ちで買い物とかして、よろよろ帰って来て、買い物を冷蔵庫に入れるのもやっとで、とにかく一休みしようとどっとベッドに身を投げ出すと、今までエアコンのきいた部屋の中で寝ていた猫が、さっそく立ってすりよって来るのが、もう冗談ではなくウザい。こちらはとにかく疲れて、腕一本指一本動かしたくない、何も考えないでじっとしていたいというのに、ぺたぺたされるのが狂うほど腹が立つ。「あー、そっとしといて、ほっといて」と口に出すのさえ、その力が出ない。子どもとか配偶者とか家族とかいる人たちのことを本当に尊敬する。こんなときにすりよられると、正直もう、外の熱波の中にでも逃げ出してしまいたくなる。熱中症になってでもいいから孤独でいたい。孤独がほしい。

まあ、三十分もあれば立ち直れるのだけど、その間にじわじわ降り積もる猫への嫌悪感がたまって行って、なかなか消えない。今日もそれが続いて、ついそっけなくしてしまうので、猫もつまらなさそうだ。廊下のかごの中でふてている。

ところで、この熱波が利用できないものかと、昨日やかんに水を入れて、外の日光の下においてみた。まだ日が高い内に取り込んだら絶対にコーヒーぐらいは飲めたと思うのだが、うっかり忘れていて、日がかげってから取りにいったら、ひなた水程度にしか温まっていなくてみごとに失敗。再度挑戦しようかどうしようかと思案中。でも、きれいなやかんだともったいないから、古いやかんを調達しようかな。

そして今ごろ、プロ野球のオールスターの記事を斜め読みしていたら、ホームランダービーとやらで、優勝を争った山川穂高選手と近藤啓介選手が、延長戦にまでもつれこんで、たまたま両人のピッチャーを請け負っていた栗原陵矢選手がバテて、皆から「MVPは栗原でいいんじゃないか」と笑われてる画像が出て来た。(近藤選手が勝って賞金100万円の半分を栗原選手にくれたらしい。笑)そして、へばっている栗原選手に仲が良い周東佑京選手(二人まとめてシュークリームと呼ばれているらしい)がすかさず水を持って行く場面もあっちこっちで記事にされてた。

その給水場面?になーんかデジャブを感じて、頭の中を引っかき回してようやく記憶がよみがえったのは、もう何年も前、ホークスの森唯斗投手が、バラエティに出演したとき、テレビ局からもらって来た「ロシアンシュークリーム」を仲間や球団のえらい人に食べさせていたずらしていた動画で、二度もひどい味のにあたってしまった高橋礼投手が悶えているとき、ペットボトルを後ろ手に差し出すのがやっぱり周東選手で、コメントを読んだら高校生のときにドラフトが決まるのを待ってる間に報道陣にお茶を配っていたこともあるらしいという話だった。雀百まで踊り忘れずというやつだろうか。
 笑いこけて見たので覚えていたのだが、今見ると出て来る選手の半分以上が移籍したり引退したりしてもういない。栄枯盛衰を痛烈に感じる。

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カツジ猫