シュールな光景
母が生前仲よくしていた、田舎の共産党市会議員の方が、少し前に引退して、若い後継者の人が無事に当選して議席を引き継いだ。
なかなかできることではないので、めでたいと、お祝いと長年の感謝のプレゼントを買ったら、なかなか渡す機会がなく、昨日思い立って、田舎に帰って持って行った。
ついでに墓参りでもするかと、カーネーションの花など買って、お墓に行った。田舎は旧盆だからか、誰もお参りした様子はなく、どの墓にも花はなく静かだった。線香を立ててお参りして引き返したら、もう日は沈んでしまって、議員さんの家がある集落に入ったころは、ほぼあたりはまっ暗になっていた。
しかも、長く来てなかったせいで、お宅が見つからず、昔ながらの集落の狭い道を、車でうろうろ探し回る羽目になった。左側に遠く見える大きな山の影が、見慣れない形になったので(この山は横に長くて薄っぺらでぺしゃんこなので、少し移動すると形ががらっと変わってしまう。この写真もまた別の側からだが、おまえは誰だという感じだ)、行き過ぎて隣の集落に入ったかなと思ったが、Uターンできるところもないので、のろのろ進んで行った。下手したら時々周囲に現れる水田に落っちゃける。家々に灯りはついているものの、あたりは人っ子ひとり見えない。
そうしたら、向こうにやけに明るい光が見えるので、お祭りでもやってるのかと近づいてみたら、ホテルだった。やっぱり、まるで人影はない。
ラブホテルかもしれないが、とにかくケバくてぎんぎらぎんに光っていて、しかも車がやっと通れる集落の道沿いで、周囲は普通の民家が密集しているし、絶対に地元の人しか知りようがないだろうけど、地元の人はどんな需要があるというのか、もう何もかもが謎で、恐いような面白いような、いっそ泊まってみようかと思った。なんか、トロピカルな名前がついてたような気がする。外装も熱帯植物か果物の看板がごてごてあったようだが、もうとっさに呆然としながら見たから覚えていない。
幸いその前に空き地がちょっとあったので、引き返して、無事に目的のお宅を見つけて、荷物を渡して、とんぼ返りした。
その行きがけの車中で、大相撲でも聞こうとカーラジオを入れたら、自民党の政見放送で、あまりのスカスカ内容と品の悪さについ最後まで聞いてしまった。どうひどかったかはまた明日にでも。今夜かな。
たまたまだろうが、それに引き続いて、これはまた充実の内容と格調の高さの共産党の政見放送があって、どっちが政権党かわからないぐらいだった。その二つで終わって大相撲に変わったけど、誰だ何だ、あの順序で「さあ比較してみろ、どっちに入れるか、これでわからなかったらアホだぞ」と言いたくなるような設定にしたのは。NHKは政府と首相の御用放送局になり下がってるというのは、私の周囲じゃもう常識みたいになってるが、あの並べ方はいい意味で、ものすごく意図的だったとしか思えない(笑)。
大相撲の解説は、元寺尾の錣山親方だった。スマートでカッコいいイケメンの人気の高い力士だったが、もうそんなに偉くなったのだな。しかし、解説者としてはまだ若手なのか、もう説明がすごく理論的で充実していて、一人ひとりの取り口や心理の分析がおおと声を出したくなるほど詳しかった。負けが続いている力士にも、これでいいと言ったり、自分の弟子を、ずっと下の力士と比較して、まだまだだめだと断じたり、独自の視点も爽やかで好感が持てた。
あわてていたので、田舎の家の物置から取ってくる予定の本を忘れてしまった。電車でちょろっと取りに行くかな。それともまた、今度は由布院経由で行ってみるかな。あーでも絶対そんなヒマなどないんだけど!