さかさまの国旗
フェイスブックにちらと書いたのだが、「教育大について」(26)は、私の「さかさまの国旗」である。
映画「告発のとき」で、イラクに兵士として行った息子の死に疑問を感じ、真実を探ろうとした父親(トミー・リー・ジョーンズ)は、最後に衝撃的な真実をつきとめる。彼は、この戦争が正しくないことを知り、息子を救えなかった自分の責任を感じる。
彼は軍人で愛国者でもある。映画の途中で近所の施設で国旗を掲げていた移民か何か有色人種の若者が、アメリカの国旗をまだよく知らないらしく、さかさまに揚げようとしていたので、彼は笑って親切に教えて、正しく揚げる手伝いをする。「さかさまに揚げるのは緊急に救援を求める時なんだよ」と彼は若者に教える。
しかし、映画のラストで、彼はその若者の揚げようとしていた国旗を、自分の手でさかさまに揚げる。この国は窮地にある。そのことを彼は訴え、救援を求めるのだ。
映画を見たとき、あまりぴんと来たわけではないし、実は今でもよくわかっていないかもしれない。彼は誰に向かって助けを求めているのだろう。他国か、世界か、国民か。それもよくわからない。
ただ、時間がたって思い出すほど、その場面が妙に切ない。あれほど国のためにつくし、国を愛し、わが手で国を守ることに自信と誇りを持っていた人が、「もう自分の手にはおえない」と認め、恥も誇りもかなぐり捨てて、愛する国の窮地を告白し、危険を承知で救いを求める。その悲しみと、その勇気。絶望とあきらめと、そして希望と不屈の精神。
切なさもスケールも、それとは比べ物にならないが、私も多分それと似た心境で、教育大学の現状をできるだけ多くの人に知ってもらおうと決意する。多分、それほどにせっぱつまっている。多分それほどに救いはない。
最近の天気予報はいまいちあてにならないのだが、それによると明日は雨で、うすら寒いらしい。温かい紅茶でもいれて、家にこもって仕事にはげむかな。このホームページを見ている学生たちからの質問や要望もあるので、それに対する答えのようなものも書きたいし。