テーブルにつづいて
枕まで猫のシナモンにのっとられた。
ど~でもいいが、この枕は肩こりが治らないかなと、はかない望みをかけて、カタログハウスから、かなり高いお値段で買ったしろものだ。普通の枕よりひとまわり大きく、ぴったりのカバーがめったにないのが、どことなくありがたいような腹が立つような。
肩こりも少しはよくなったし、寝心地も悪くなかった。
それが、この数日、タオルケットを洗濯して、前よりもやわらかさがなくなったからかどうなのか、シナモンが枕の上に寝るようになった。私が寝に行くと、枕の上いっぱいを三毛の毛皮が占領している。この猫はメスだし、そんなに大きい方でもないのに、枕全体にのたっと広がっている。
頭で押しのけて強引に寝ると、別に抵抗もせず、人の頭の回りに頭のかたちにへっこんで丸くなる。だからまあいいが、顔をどっちに向けても、ふわふわの白やオレンジの毛がもこもこしている。寝る前にクイズを解いて遊んでいると、どこからか肉球つきの手がのびてきて、消しゴムや鉛筆をつかもうとする。いきなり鉛筆のはしっこをかまれて、勝手に線が引かれたりする。
昔、キャラメルがこうやって、毎晩首すじにくっついて、耳をしゃぶっていたっけなあ。最後はエイズが悪化して口内炎になって、何も食べられなくなり、痛いのか耳もしゃぶれなくなり、それでも死ぬ数日前に工夫して工夫してという風情で、そうっと耳を口に入れてしゃぶってくれたなあ。
そんなことを思い出しながら、シナモンの丸い頭をなでている。