ホラー以上のホラー。
◇水曜はジムが休みだ。このごろは忙しくて入浴だけに行くのだが、そこでしか体重をはからない(家にもどこかに体重計はあるのだが)ので、休みの日にはつい、いい気になって、朝食をたらふくつめこんでいた。そうしたら、体重計の代わりに今着るのによさそうな古いが上等の、ベージュのパンツが出てきて、はこうとしたら入らなくて、厳しい現実に引き戻された。パンツは多すぎて処分しようと思っていたので、誰かにあげようか、それともリフォームしてみようかと迷ってる。
◇金子兜太さんが亡くなられた。
https://mainichi.jp/articles/20180221/k00/00e/040/278000c#cxrecs_s
最後まですばらしい人生を送られたなと、残念な気持ちと同時に祝福もしたい。家の前の道路からよく見える窓にはっていた、肉球新党の「安倍はやめろ!」の猫の大首写真を引っこめ、追悼の意をこめて、以前の「アベ政治を許さない」をまた張った。兜太さんの雄渾な文字は百歳近いかたとは、とても思えない生命力と決意と希望にあふれている。
◇DVDの新作で「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」というのを借りて来た。この邦題じゃどうかしたら、アイヒマンとかヒトラーとかナチスの流れをくむ、「ナポレオンソロ」映画版に出てきた拷問好きのマッドサイエンティストミルグラムさんが、すごく残虐な拷問をするホラー映画とまちがえそうだが、そんなそそっかしい人は私だけだろうか。
もちろん中身はホラーじゃない。まともでまじめで、地味で良心的な、だけど決して退屈じゃなく、ものすごいスリリングな、研究室の中ばっかりなのに、カーチェイスや銃撃戦以上のエンターテインメントになってる。
この実験はわりと有名で、電気ショックをにせの被験者に与えて下さいと言われた、本物の被験者が、相手が苦しんでやめてくれと懇願し、生命の危機があるとわかっていても、実験助手から「続けて下さい」と言われたら、もうほとんどの人がやめずに最後まで続けたという、まあある意味ホラー映画以上の現実で、それを映画化したものだ。
主役のピーター・サースガードは「仮面の男」のラウル役だった人だよねたしか。あの時は影の薄い地味な青年役で目立たなかったが、今もその影の薄さがどこか謎めいた、いい俳優になっている。
本当にベタっちゃあそうなんだけど、たまさか実験を拒否する人がいると、もうバカみたいに感動して、そこだけ何度も見てしまいたくなるぐらいの緊迫感だ。
映画やドラマでは、こういう良心的な人はしょっちゅう出て来て珍しくもないから、感動もそれほどではないが、この映画だと、ほとんどの人間は、あらゆる過程と反応はそれぞれにちがいながら、結局は言われるままに機構の一部分になって、人を虐待し苦しめるということを、ぐうの音も出ないほど思い知らされているので、そうじゃない人が出てくると、むせび泣きたくなるぐらいの感動になってしまうのが、恐ろしい。
道徳教育の教材には、こういう映画を使うべきじゃないのかな。いやマジで。
まだ途中までしか見ていないので、最後まで見たらまた感想書きます。
◇さて、ぶり大根の材料と、昨日買い忘れた洗剤でも買いに出かけるか。