ポインセチア
去年の十一月でしたか、スーパーのすみっこで、見るからに適当に売られていたポインセチアの一群の中から、私もいいかげんに一鉢を選んで買った。クリスマスに窓の外に置こうと思ったのだが、ネットで見ると寒さに弱いとのことだったので、それはあきらめて窓べの机の上に飾って毎日水だけやっていた。
したらば年を越してもしっかり生き延びたばかりか、気づくと最初の倍ぐらいの高さになって、妙にめきめき葉も生い茂っている。倍以上だね。下の方にちらっと赤い葉が見えるのが、買ったときの高さだったんだから。
一応買ったあとすぐ、大きめの鉢に植え替えてやったのだが、この分ではその鉢さえも窮屈になりそうで悩ましい。うれしいような恐いような複雑な思いで見守っている。またこれが、起きたらすぐに目に入る位置にあるんだよねえ。今やけっこうな迫力なんですけど。
今日は沖縄復帰五十年。ラジオで当時の番組の再放送を聞いていたら、手放しで喜んでいる沖縄県民はほとんどいなくて、ごく普通の人までが「これからが戦いだ」というような決意で心をひきしめているのが、びしばし伝わって来て、こちらもぴりっとした気分になった。
沖縄の人の気持ちは現在もこの時とさほど変わってないのはふだんのニュースその他を見ていても何となくわかるが、それが今では、ちょっと特殊で浮いているように見えることもあるのに、あらためて愕然ともした。
多分五十年前の沖縄復帰のとき、本土でも似たような厳しい意見は多かったろうし、それはきちんと報道もされていたはずだ。今のようにことあるたびに諸手をあげて喜んだり日本を誇ったり手放しのお祭り騒ぎをしないと変わり者と思われるような雰囲気は絶対になかったと私のおぼろな記憶でもわかる。いつの間に沖縄以外の日本では報道も私たちも、こういう「とにかくめでたい」病にとりつかれてしまったのだろう。
その前にラジオの朝の番組でウクライナ情勢について、「平和学」の専門の先生がいろいろ話していて、めちゃくちゃ面白かった。時間がないからまたにするが、そういう学問があったのも知らなかったし、いろんな観点がすごくまともで健康で前向きで力づけられた。こういう人の話をこそテレビのワイドショーなんかで連日流せばいいものを。