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マジシャンカツジ猫

◎昨日、いや一昨日の朝のことです。
仕事に出かける前のあわただしい時間に、取り忘れていた新聞を表のポストにちょっと取りに行って、台所で立ったまま読んでいたら、外ですごい猫の鳴き声がしました。明らかにけんかです。

ちょっと聞いていましたが、やみそうにないので、出て行きました。出て行きながらとっさに考えたのは、例のノラ猫にやっているエサを取りに、別のノラ猫が来たなということで、まずいなあ、エサ場とわかって何匹も猫が集まり始めたら、とても対応できないぞ、例のノラさん(しまお君と呼んでいます)が目の前で食べる分だけ、少しずつやるか、それも面倒だな、困ったことだ、などということでした。

それで、玄関に出てみると、ノラさん(しまお君)は、うるさそうな顔をして家の前に座っており、ウッドデッキの下の、エサをおいてある方を見るともなく見ています。そこに相手がいるのかと、ふりむいて見ると、ウッドデッキの下からのぞいているのは、まん丸お目目に灰色の顔。うちのカツジ猫でした。

◎一瞬、呆然としました。こいつは朝から私の仕事机の上で、資料の上に長々とのびて、寝こけていたはずなのに。
新聞を取りに出た一瞬にすべり出たのでしょうが、まったく気づきませんでした。そう言えば足元をかすかに風が吹きすぎたような気がしないでもない。
まったく、こいつはマジシャンになって、箱抜けだの樽抜けだの立派にやれそうな気がします。

それにしても、外でノラ猫と遭遇してけんかになって、風をくらって一散に逃げ、帰り道もわからなくなる、というのは、猫が行方不明になる多分一番よくあるケースで、ある意味最大の危機的状況のはずなんですが、しまおもカツジもあまり興奮しているようでもなく、まったく、カツジというやつは、すべてにおいて、なんかこう、ぬるいんですよね。
こいつのもうひとつの美点は、家の中でも外でも「呼べば来る」ということで、私がしゃがんで、名を呼ぶと、やっぱりあまり緊迫感のない顔で、のろのろ近づいてきて、あっけなくつかまりました。けんか中の猫にさわるなどと、本当は命がけものの危なさなんですが、やつは抱いても暴れもせず、噛むでもなく、ちょっとうなっていましたが、たらっとしたまま、家に連れ戻されました。

◎彼を呼んでつかまえるまで、私もなぜかおかしくて、ずっと笑いどおしでした。中に入るとき、ふりかえって、しまお君に、「ごめんねえ」とあやまると、彼もわりと、のほほんとした顔をしていました。
結局、あまりおたがい、ものすごく敵意を感じているわけでもないのかもしれません。
まあ、無事にすんで、よかったです。

◎後期の授業やカルチャーセンターでは、毎回かんたんなノートを作って配布しようかと思っています。結局はそれの方がやりやすそうなので。
明日から、作り始めてみる予定。

枝野さんが憲法改正の試案を作ったのが「文藝春秋」に載っているというので、一応買ってきたのですが、あまり予想外の内容ではないなあ。「どっちも極論だから、中間の案を」のような感じで作っているの自体が、どこかちがっているように思えてならない。

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カツジ猫