横づけババア
◎この数日、暑さがすっかりぶりかえしてしまい、おかげで、これを太陽光発電に使えよ、などという、前向きな社会性のあるいらだちじゃなくて、ただの、やつあたりの実につまらないイライラが多くなっています。
◎たとえば、よく行くナフコの店のレジで、ずっと前からムカついているのですが、「いらないレシートはこちらに」という箱がおいてあって、そこに捨てて下さいという感じなのはいいですが、いつもその箱の中に、掃除用の洗剤とか店の人が使うものが、ちょっとという感じで入れてある。つまり、「こちらに入れて下さい」と言いながら、入れにくいようにあえてしてあるようなのが、生活保護申請の窓口とか復興資金の申請書類のようで、毎回毎回、こうまで慣れないものかと思うぐらい新鮮に腹が立つ。私の怒りのエネルギーって無限だなあと自分でも感心する。
しかし、真面目な話、あれはいったい、どういう神経なんだろうか、一度聞いてみたい気もする。
◎これは店のせいではなく客の方の話だが、やはりよく行くスーパーで、しばらく前からまるで店が推奨するように、かごをカートにのせて押して行く人が多くなった。いやつまり、店がカートをふやしたので、やはり店の方針でもあるのだろう。
それは別にいいのだが、外国映画によく出てくる広大なスーパーとはちがって、通路のせまい、面積も小さい店でこれをやると、通路がふさがってすごく歩きにくい。
もちろん、老人や妊婦や買い物の多い人が使うのには大変いいし、私も使う時もある。ものすごく少ない品物を殺しても死にそうにない丈夫そうな人が大きなカートに入れて押して歩いているのを見ると、どうなのと思っていたが、まあそれも慣れた。
でも、どうしても慣れない、というより、日を追っていらいらして来たのが、棚やケースの前で商品を選ぶとき、このカートを横づけして、人が近づけないようにしている人がよくいることだ。こちらは買うものを決めていても、その人の前、というより、その人の横に横づけされたカートの前にある商品には、ほぼ1メートル以上の間にわたり、その人が選び終わって立ち去るまで、まったくこちらは近づけない。
これは、外国でもそうなんだろうか。自分の後ろやわきにカートを下げたら通路のじゃまになると逆に思っているんだろうか。まあ、いろいろあるんだろうし、気にするようなことでもないから、私も怒らないようにして、おとなしく待っていた。一度、二人のおばさんが、自分たちのカートをそれぞれ商品ケースの前に横づけにして、つまり4メートル近い範囲を占拠して、長々と5分以上も世間話をしていた時は、「すみませ~ん」と愛想よく言って、わりこんで、ワカメのパックを取ったことはあったが。
ど~ゆ~地域のスーパーだと、あきれる人がいるかもしれないが、何ごくふつうの地方都市の、ちゃんとしたスーパーです。
◎まあ、例のエスカレーターの追い越し方のようなもので、ルールやマナーがあってないような問題だから、しかたがないのかもしれない。
ただどういうか、結果として邪魔になるのであっても、本人としては、邪魔にならないようにちょっと気をつかってカートの位置を工夫しているというのが感じられる人に、私はこれまで本当に一度も会ったことがない。
それどころか、最近気づいた衝撃の事実は、もしかしたら、多くの女性たちは、どうやら、意識的にか潜在的にか、このカートを使って他人を近づけないようにし、場所を確保しようとしているのではないかということで、もしもそうなら、私は何だかもう実に、日本か人類かに対して絶望的な気分になる。
今うっかり女性と書いたのは、もちろんスーパーの客はほとんど女性だからしかたがないのだが、ただ、実は私は今日、さっき、初めて、カートを商品ケースから遠ざけるようにして他人の邪魔にならないようにしながら魚のパックを選んでいる人を見て、それは、どこから見てもぱっとしない、しょたくれたおじさん、つまり男性だった。こんなことで男女の差など言いたくもないが、それでなくても、カワイイ区を作ったり女人禁止の場所を世界遺産にしようとしたりしている、何考えているんだと思われてもしかたがない某福岡県で、私もそんな傾向にくみするような発言を口がさけてもしたくはないが、実際問題として今のところ、このおじさんのような気づかいを感じさせる女性に私はそのスーパーで会ったことがない。このごろでは、そういう、横づけにしたカートをバリケードにして買い物をしようとする女性を見ると、たとえきれいな若い女性でも私は頭の中でただちに「横づけババア」と命名することにしている。