ミーハーなオレンジジュース。
◇「君の名前で僕を呼んで」は、最後まで格調高く、みずみずしくてきれいだった。DVDを返却するまでまだ時間があるので、ちょっと恐いけど吹き替えも見ようとしている。
主人公の青年(少年か?)の家に果樹園があって、夏休みだから食事はいつも戸外の木の下で食べている。果物やオレンジジュースがあまりにおいしそうなので、ついふらふらとスーパーでりんごジュースの大びんを買いこんでしまった(笑)。
だけどこれ、少年も相手の青年もパンツいっちょで走り回ったり泳いだりしているから、うっかりアホな若者に見えそうだが、青年は気鋭の考古学者か何かだし、少年のお父さんも大学教授で、雨の日は家族三人がソファにからみあって寝転んで、何をするかと言えば、お母さんがドイツ語の「へプタメロン」(ばりばりの古典文学)を訳しながら朗読して夫と息子に聞かせるような家庭なんだよな。本人もけっこう難しい作曲とかしてるし、家族ぐるみの友人との食事の席では、普通に政治も熱心に議論する。
まあそういうのも一種のスノビズムかもしれないが、とにかく教養あふれる家庭で、そこがまた美しいのです。そして、へプタメロンが何なのかわからないような人には、その高級さが伝わらないようにしているのも、意地悪というよりは慎ましさを感じる。
◇話は単純なんだから、いろんな余計な連想も働いて、少年の住む家のたたずまいが、あまりに簡素でさりげなく品がいいので、ああ、いずれはあんな風に、ものの少ない空間で暮らしたいものだ、仕事が一段落した老後には、家具も服もすっかり処分してしまうか、古い家具なんて誰ももらってくれないだろうし、それは残すしかないだろうけど、などと、変な終活気分になったりして。
そう思いながら、今日やっとハロウィンの飾りを出して、家のあっちこっちに飾り、秋はキャンドルをつけたくなるなと思って、ネットで買おうかと思っていた小さめのぷかぷかキャンドルが、文房具屋さんにあったので、それを買って、今からお風呂で浮かして楽しむつもり。カツジ猫がお湯を飲みにくるので、浴槽ではだめだから、棚の上のガラスの容器に入れて浮かせて楽しむ予定。
◇22日の講座の準備がてら、手元に集めた「てぶくろをかいに」の絵本を、一冊ずつちびちびながめて、いろんなちがいを見ています。文章は同じでも、ページ移りとか、絵にする場面とかが、それぞれ微妙に異なっていて、面白い。
私が材料にしようとしている論文は、もうかなり昔に書いたものなので、それ以後新しい論が出てるかもしれないと、ちょっと心配になってネットで調べたら、2016年に書かれた論文があって、それほど以前と解釈は変わってないようなので、大丈夫そうです。言いかえれば私が指摘した新しい見解は、まったく無視されたままのようで、まあ、大学の小さな報告集に出しただけだから、誰の目にもとまらないんだろうな。
こうなると、「お買い物と文学」も、いつものテキスト形式のパンフレットで自費出版しておきたいな。何となく、授業のテキストに使えそうな構想も、まとまって来たし。しかし「断捨離狂想曲」も、同じようにまとめたいし、私は今お金があまりないんだよ。どうしようかしらん。カルチャーセンターとかでかせぎたいけど、そんな時間も体力もないし。ううむ。