便所のブラシ

今日明日と少し時間が取れたので母の家で過ごす事にして居ました。メールも其処で読むからと人にも言ってありました。
所が仕事を片づけ長距離の運転をして母の家に着くと、先にも書いた近所の奥さんの事が心配だから車を出してくれと言われました。
丁度御中元も届ける事になって居たので、お伺いしますと奥さんはお元気で、母の思い違いだった様です。母は安心して喜んで上がり込んで話を始めたので私はその間に、クリーニングを出したり買い物をしたりと用を済ませて居ました。
母を連れに行くと母はまだ話し足りない様で、漸く連れて帰りました。ほっとして、一眠りしたかったのですが、自分の部屋に入ったらまた母が淋しがると思い、居間の母の側で横になって居ました。少し休んだら食事の支度に掛かろうと思って居ました。
すると母はもう一軒のお宅に御中元を届けに行こうと言い出しました。食事は帰ってからするとの事で、私は本当に疲れて居たのですが、又車を出しました。
帰った時はもう疲れ果てて食事を作る気分にもなれず、母の分は昼にヘルパーさんが作った残りがあったので、それを食べて貰いました。私の方は眠くて空腹すぎて却って何も食べられず、母は例の奥さんの事を「無事で良かった、ほっとした」と話し続けます。
自分が勘違いしていて、元々何でも無かった他所の奥さんの事はそれだけ心配しても、仕事で疲れ切ってやっとやって来た娘が疲労で立って居られない程の状態と言う事は見えないし、見ようともしないのですね。

この家に居たら殺されると本気で思いましたから、「食事が済んだら又仕事に行くから、今夜は泊まらない」と言って「出発前に仮眠するから」と自分の部屋に行ってメールチェックをしたり、クリーニング店から取って来た洗濯物の山を整理しまして、少しでも寝ようと横になったら、母が私を呼びます。何かと尋ねたら「泊まらないなら早く行かないと遅くなると危ないよ」と言います。

私が母の一番嫌いなのは此処なのですが、私が自分の相手をしている時は幾ら遅くなっても気にもしません。もう出発しないと危ない等とは口が裂けても申しません。私が別の仕事をして居たり休んで居たりするとすぐ「もう行きなさい」と言い出します。私を心配している積もりなのでしょうが、要は自分の相手をしてくれなければ居て欲しくないし用もないのです。休むのはまだ私自身の為ですが、洗濯物の整理や掃除等は母の為にして居る事です。それでも自分の相手をしないと不満なのです。自分が起きている間はずっと相手をして、自分が疲れて寝た後にそういう仕事はして欲しいのでしょう。そうしようとして見た事も実は有りましたけれど、喜んで興奮していつまでも寝ない母と話をして居ると居眠りをしそうになり、最後には刻一刻と母への憎しみが募って行くのです。ですから、それはもう止めました。

今夜もそう言い出したので思わず「私の予定は自分で考えているから」と強い口調で言ってしまいました。その後はもう寝る気にもならず、母家の方を片づけて、キャラママさんのお友達（カツジ君の飼い主だった方）がマンションに引っ越す時に処分されたのを頂いた畳マットを古い囲炉裏の有る部屋の囲炉裏の回りに敷いたりして、母にも見せてやりました。そこで又思い出話を始めて何時迄も止めない母を何とか寝に行かせて１０時過ぎに出発してさっきこちらに着きました。仕事用に借りて居る殺風景な部屋ですが、母が居ないだけで天国に思えます。家そのものは母の家や母家の方が格段に快適なのですけれど、誰も居ない居心地の良さは比べ物になりません。今朝此処を発ったのは朝の１１時でしたから、凡そ半日の日帰りです。
明日まで母の家に居る予定でしたから、一日此処で仕事が出来る様になったのは実に助かります。ただ、あちらにメールを下さって居る方も居られるかも知れないのが心配です。

私が母に取って不死身の英雄に見えて居るのならまだ良いのですが、単に丈夫で粗末な幾ら使っても壊れない道具としか考えて居ないのがありありと分かりますから、母の側に居ると自分が便所のブラシになった気分にしかなりません。ですから母への愛情も便所のブラシなみにしか持てません。（笑）
不愉快で眠れませんので、今からコーヒーでも淹れて少し仕事をする事にします。