四つのお目々
ゆきうさぎさん
こっちはこっちで、シナモンとカツジの板ばさみで消耗してます。
まあ私のは笑い話ですけどね。
すったもんだのあげくのはてに、庭の金網がようやくできあがり、(私の年金のひと月分以上ですよ、まったくもう。ちなみに、そんなに高い額ではありません)そんなもんにだまされてなるかという顔をしていたカツジも、だんだん外で遊ぶようになりました。トイレは二つの大きなトイレをぜいたくに使ってるせいか、まだ失敗はありません。
シナモンはそれを見ていても外に出たがる風もなく、私とベッドで寝るだけで、すっかり満足しています。いじらしい。
一方カツジは、あいかわらず居間や寝室に入りたいらしいけど、鳴いてせがむでもなく、格子戸をひっかくでもなく、こっちもこっちで立派なもんです。
ではありますが、カツジは庭で遊んでいても、居間に私の姿が見えると、すぐに部屋にかけ上がり、何の疑いもないまなざしと足取りで、まっしぐらに近寄ってきます。「入れてくれるよね、当然!」みたいなその全身の雰囲気は、実にもう、すごい表現力です。「毛は口ほどにものを言い」です。
私が彼のへやに入って遊んでやったりエサをやったりすると、「入れてえ!」とアピールなどはしませんが、はっきりと不機嫌になり、どうかすると、かみつきます。いかにもう、傷ついているかがよくわかるので、かわいそうになってしまう。
一方のシナモンも、私がカツジのへやに行くと、きっとやって来て、居間のテーブルから監視しています。騒ぎはしませんが、黙っていつも私について回る。
どっちもか、どっちかがバカで私を怒らせることをしたら、私も何とかできるんですが、どっちもプライド高く、我慢強く、最高にいい子で私の気持をくんでくる。
私は泣き落としや脅迫には絶対強いんですが、こういうけなげ路線には弱い。二匹の心理戦に感心しつつ疲れてます。
どっちか一方だけなら、どんなにかかわいがるのになあ。
まあ、先住猫のシナモンを大事にするしかないのですが、カツジがいつになったらあきらめてくれるのか。前の飼い主さんにしていたように、ベッドやソファでべったべたしたいのが、わかってるだけに、かわいそうです。
しかも決して与えられた位置で満足せず、かみついて不機嫌になってみせてるあたりが、けしからんけど、立派でもある。
もうこれ以上、境遇を変えたくないので、人に譲ることは考えてないのですが、彼はこのままで満足してくれるものでしょうか。
私を独り占めできないことを除けば、今は最高の環境のはずなんですけどねえ。
まあ、しばらくは、このまま行ってみるしかないかな。