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六年生の夏(31)

8月30日 土曜 天候● 起床9時0分 就寝11時10分

目がさめると、ポッタン、ポッタン、トタン屋根にあたる雨の音がする。所が全く便利の悪い事には私の家では、音がしたからと言って雨がふっているとは断定出来ないのだ。私の家の庭には、まるでジャングルみたいに、かしや、やまもも、松、梅、みかん、ぐみにくるみに青ぎりに、桜にかえで、あんずにまきと、大小合わせて、約四十本ばかりも、木が植わっている。したがって雨水が葉っぱにたまるから、雨が上がっても、少なくとも三十分は、庭じゅうポッタン、ポッタン音がしている。ろうかに出ると、スウと寒い。出窓にこしかけて見はっていると、道路を人が通るのが見えた。うれしい事に、皆、かさをさしている。しめたと思って、もう一度、ふとんに入って、ゆっくり寝た。近頃、寝不足だから気をつけなくちゃいけない。日本脳炎には、寝不足の人が、かかりやすいと言うから。

この日はもうラジオ体操はなかったのかな。雨だとやらないことになってたのかな。よくわかりません。ここに書いてある通り、庭には木が多かったのですが、雨がやんでも雨音がしているというのは、まったく忘れていました。でも、こういうのを読んでいると、雨の日の緑がかった光にあふれた部屋や廊下を思い出すし、ロシアや英国のいろんな小説を読んでも、全部自分のこの家の雰囲気と重ね合わせて場面を空想していたので、ついでに、そういった外国文学の家や部屋や廊下の情景まで、ざわざわ、いっしょによみがえって来ます。

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カツジ猫