初めての樹木葬。
◇今日、黒猫のバギイを庭に埋めて、その上に緋玉マユミという、赤い実のついた木を植えました。これまで猫たちの墓には、石をおいたりしていたのですが、あまり大きい石だと何だか重そうでかわいそうで、つい少しずらしてしまうことも多かったので、今回初めて木を植えました。うまく根づいてくれるといいのですが。
今日はいい天気で、バギイの黒いつややかな毛が陽射しを浴びて光っていました。
物置に行って、白黒猫のマキの寝床に新しい毛布をしいたり、水をかえたり、トイレの掃除をしたりしていると、いつもそのへんにいて、まつわってきたバギイの姿がないのが変な感じです。
本当は、二階の灰色猫のグレイスをマキといっしょにしてやるといいのですが、この二匹、グレイスがマキをいじめるので、別々にしておくしかないのです。
◇このごろ、何があったというわけではないが、ふっと思い出すのが、ずっと昔読んだ多田智満子の詩「カイロスの唄」だ。
ネットで調べたら見つかったが、あちこち私の記憶とちがった。本は田舎の実家にあるので、確認できないが、何となく紹介しておく。
眼をすえ、唇をかみしめ、
わたしは通りすぎる
不動の万象の間を
たれもわたしの近づくのを知らない
長い髪をなびかせて
わたしはひとつの速さである
むしろひとつのずれてゆく距離である
過ぎ去ったあとで人はわたしに心づき
うしろからよびかけてくる
わたしはふりむかない
わたしは足をとどめない
いかなる哀切の呼び声にも決して
人は思う このすばやいあゆみには
つまづきがないのであると
わたしはしかし私のあわれみ深さに愕然とする
脚をはやめてわたしは過ぎる
万象のなかに
悔恨だけをよび起しながら
けれども人は知らない
カイロスの名あるわたし自身が
ひとつのはしりゆく悔恨であるのを