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別れの予感

書庫の紀行コピーをどんどん読み飛ばして行く作業、次々候補が目白押しなのに、まだ「紀行右よし野」につかまってる。だって面白いんだもーん。一番興味を引く記事だけにしようと思うのに、ついこういう、さりげない記述もメモってしまう。滋賀県の大津がめちゃくちゃ賑わっていたとか、

池の側、針、大津絵、そろばん師など、家毎にありて旅客の眼をよろこばす。牛車は海道につゞき行来ふ旅人は布を引がごとし。誠に賑はしき所也。(大津)

木曽路の家が(雪対策かな)ぺらぺらの作りで紙細工みたいだったとか。そうかな。どっしりした旧家が多かった記憶があるんだけど。それと、女性がきれいだとか。

都(すべ)て木曽路の家々、瓦葺□葺壁等、一切なく皆枌屋根にて石のおもし置く。壁の有べき所も皆々板にて、燈籠細工(こんなイメージですかね)の家のごとし。山家育といへど、惣体、女は色白く清らかにみゆる。(上松)

フィッツジェラルドの奥さんのゼルダさんの全集本が来た。一冊だが、分厚い。孫娘さんが序を書いて、お母さん(ゼルダの娘)の序を紹介している。お母さん(娘…ややこし)は、母(ゼルダ)が父の犠牲者だったと言われるけど、実際はそうではないと説明して、ゼルダ犠牲者説を中和している。そういうことはあるだろうし、面白いしためになるけど、何しろそうやって、「この本が世に出た」いきさつの説明が長く、小説本文に到達したところで挫折していったん本を閉じた。だいたい私は先入観や予備知識なく、いきなり読みたいんだよな小説って、いつも。

昨日で上映がおしまいだった(と思ってたらまだ当分やってるみたい)「おっさんずラブ」の劇場版の映画を見に行った。ドラマをDVDで見ていて、こんなとんでもない、ぶっとんだ筋書きの話をメジャーな映画館の大画面で堂々と上映する現場は見ておく価値があると思ったのだ。まあ普通にお客さんも入っていて、若い女性が多かった。

ドラマのときから、吉田鋼太郎の名演あってのドラマだなと痛感してたが、他の俳優ももちろん悪くない。そして男性同士の結婚にまでいたる純愛を堂々と描きながら、生々しい場面はいっさい描かない手法もみごと。この開き直ったファンタジーをリアルに展開してみせるセンスは、その昔、少年少女の結婚話を描いたイギリス映画の大ヒットした名作「小さな恋のメロディ」を連想させた。それに続いてフランス映画「フレンズ」が出て、これは少女が妊娠するなど、もっとリアルに、でも基本はやっぱりきれいなファンタジーで、ヒットもした。その内に「おっさんずラブ」も、そういう作品が続いて出てくるのだろうか。

帰りにガソリンスタンドで冷却水がもれてるようだと言われ、行きつけの修理工場に持って行ったら応急処置はしてくれてしばらくは大丈夫そうだが、どうやら買い替え時期のようだ。22万キロも走った、これまでの中では最長不倒記録の車なんだよなあ。いつまでも乗れるとはむろん思っていなかったが、何だか淋しい。

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カツジ猫