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十月もかーい

そりゃ冷静に考えればカレンダーなんて人間が作ったもんだし、地球も気候もそれに合わせる義理なんてないよ。ないけど、天気予報では、「九月になれば」「十月になれば」涼しくなるみたいなことを言うから、こっちもちょっと期待するじゃん。実際、この数日ちょっと涼しかったし、庭では赤とんぼが現れて水をまく私の手にとまって羽を休めるもんだから、あー、写真がとれないとくやしかったりしたぐらいで、彼岸花もだいぶ咲いてきたし、新しいのも生えて伸びて来たし、おっ、いよいよ秋かとそりゃちょっとは期待するじゃん。そしたら今日の天気予報は「十月になっても真夏日です」だって。それは能登の水害にあった方々や、ガザやウクライナの爆撃下にいる人たちのことを考えれば、おのれがヤワすぎるだらしなさすぎるとは思うけど、でも、やっぱりがっくり来る。

それでも昨日は先日の軽い接触事故で傷ついた車を修理に持って行った。ずっとお世話になっていた工場がお店をたたんでしまって、ネットで見つけた新しい工場に持って行ったのだが、すぐに直してくれて、お金もかからず、幸せになった。しかもその間に、私がサボってずっと連絡していなかった親しい方から電話がかかり、お元気そうな声を聞いて、こっちも勇気百倍した。さんざん積もるおしゃべりをしたが、まだ足りない。できたらまた、北九州の美術館でデートしたいなあ。

そして、その帰り道に、これまたずっと行けなくて、最近行ったら二回ともお店がしまっていて、よもや閉店かとどきどきしていた、行きつけのかわいい小さな喫茶店がぴかぴか明かりをつけていて、大喜びで飛びこんで、食事時じゃなかったから、ケーキとミルクティーで楽しいひとときを過ごした…と言いたいが、猫のトイレの庭の砂場をきれいにするミッションがあったので、あわただしく引き上げた。でもまた行こう。

少し前に忙しさがピークだったころ、砂場を放ったらかしていて、かなり汚れていた。猫のカツジは土砂降りでも大雪でも律儀に庭に出て、この砂場で用を足すので、ついたかをくくっていたら、さすがにいやだったのか、家の中でうんちやおしっこをしはじめた。便はころころヤギの糞みたいに硬いし、おしっこも全然匂わないので、さっさと片づけてすませていたが、それだけでなく、便秘になっちゃったようで、何となく体調もよくなさそうで、さわると身体がひんやり冷たく、私は泡を食って、もちろん砂場はきれいに掃除し、やわらかいエサを食べさせて、毛玉がたまらないようにブラシをかけたりしてやって、ごきげんをとりまくった。もともと何となく動作がぎこちない猫だが、それでも別にちゃんと歩いて動いて元気そうだからいいのかなと思いつつ、ふだんから私より早く死なないと困るとか、死んだら餌代や医療費が浮くから何に使おうかとか考えたりしていたのに、実際そろそろお別れかと思うと、情けないほど顔も姿もかわいく思えて、毎晩そうっとなでながら、あれこれ話しかけてやっていた。

新しい川砂の袋は実はずっと前に二袋も買って来ていたのに、暑いし忙しいしで、庭のすみに積んだままにしていたのだ。
 喫茶店から帰ってすぐ、金網で囲った猫用の庭の戸の鍵を開けて、砂の袋をひきずりこみ、砂場に新しい砂をどっさり入れてやった。その前の日にキッチンの床にころころうんちを何日かぶりにしていたのが、安心してもう幸せで、片づけながら嬉しかったが、今朝、砂場を掃除したら、ちゃんとそこでも用を足している気配で、一応ほっとした。身体のひんやりしていたのも、どうやら元に戻ったようだ。これで一段落かしら。まだまだ油断はできないが。

そして今朝は、これまた暑さでばてまくって、二三回続けてお休みにしてもらっていた、地域の方々との江戸時代の福津や近くの俳人たちの俳書を翻刻する会に久しぶりに出かけた。都外という俳人の七回忌に家族や親族や友人知人が集まって、法事をし、故人をしのんで皆で俳句や連句を詠んでいる。それが残っているのだ。膨大な量だが、地元の方が立派に整理して下さっている。
 今日チェックしたところでは、花薄(はなすすき)にまつわる句を皆が作っていて、そこそこよく出来ていて、楽しそうに作っているのが読んでいてこちらも快かった。私は専門分野ではないから、意味がいまいちわかってないような気がするのが残念だが、それでも面白い。しっかし、家族親族集まって法事をしながら俳句を詠むなんて、思えば江戸時代のこの海辺の村って、文化度高いよなあ。

穂すすきに袖を払ふや塚の道
 七とせをこぼすすすきや風の華
 線香も添ふて行けり花すすき

なんて、素直でのどかで、いい感じ。

あー、それにしても、明日あさってで少しは家を片づけなければ。あんずのお酒をいただいたので、ちびちび飲みながら働くか。
 それにしても、一向に衰える気配もないルリマツリを、どうしたらいいもんだろう。刈り込むチャンスがつかめない。

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カツジ猫