古い映画
とにかく、あんまり暑いので、昔の古い映画をDVDで見たりしながら、のんびりお盆を過ごしています。
いやまあ、仕事はいろいろあるんですけどね。明日、いや今日片づけよう。
モノクロ映画の「太陽の下の十万ドル」、俳優も音楽もやっぱり最高。たしか私はこれは映画館で何回か見たけど、いつも一人だったような気がするなあ。友だちを引っ張って行かなかったのは、あの頃男女を問わず、特に親しくつるむ相手がいなかったのかな。それでも楽しい記憶しかないから、別に孤独でもなかったんだろうか。
いつも映画を見る友人といっしょに見た「633爆撃隊」もDVDで買えると知って、さっそくAmazonで注文した。「スター・ウォーズ」の名場面のもとになってるとは知らなかった。あのころは映画館でこそこそしゃべるのは、今ほど顰蹙をかわなかった。場末のものすごい映画館で、なぜかローマ時代っぽいハリウッドの大作を休憩時間もなしにぶっつづけに上映していたとき、隣の席の酔っぱらいのおじさんが、ラストに近く、「あー、こいつが悪人やったとやねえ」などと、けっこう大声で独り言を言ったりしていた。
あれは、天神映劇という、マツヤレディスビルと郵便局の向かいの地下にあった映画館で、階段を降りて行くと、酔っぱらいが途中で寝ていたりしていた。私はそれを踏み越えて降りて行っていた。料金はたしか50円で、若い女性なんて、他に誰もいなくて、満員の客席はホームレスみたいな(そのころはホームレスの人なんていなかったけど)おっさんばかりだった。でも、他のもっと立派な映画館では、しょっちゅう痴漢にあってたのに、あそこでは一度も確かそんなことはなかったな(検索してみたら、むしろ男性が被害にあうことが多かったみたい)。
で、「633爆撃隊」は、もちろん立派な映画館の大画面で見たのだが、最初に爆撃機がばーんと画面に現れるとき、何度ちがう画面になっても二機ぐらいしか映らないので、友人と二人でこそこそ「二機分しか予算なかったんやな」と言い合ったそのとたん、いきなり十機ぐらいの編隊が画面いっぱいに映って、二人でぎゃふんと参りつつ、必死で笑いをこらえたのだった。(今ネットで冒頭シーンの動画を見たけど、記憶とちがうのよね。いきなりたくさんのモスキートが出る。編集してあるのかな。)
祖父母や母たちの霊も帰って来てるかなと、「お楽しみ下さい」って感じで、仏間のテレビもつけっぱなしにしていたら、「となりのトトロ」の映画をやってた。ちょうど私の一番好きな、ねこバス登場の場面だった。これも映画館で同じ友人と見たのだが、サツキとメイが、ねこバスが来る前に雨の夜の森の中のバス停にいるとき、幼いメイをサツキがおんぶしてやるとき、友人が感に堪えたように、「やっぱり一人っ子はだめだなあ。私にはああいう自分より弱い幼いものを守るって感覚がないもん」と言った。
それは一人っ子じゃなくて、あんたの特質だろうがと言い返したかったけど、言わなかったのは、友人にも強烈だったらしいその実感と同じように、やはり一人っ子の私には、「自分より弱い幼いものを守りたい」という感情がだだもれにあふれそうなほど、幼いときからありすぎて、恋愛だって政治意識だって、すべてがそれにつながっていて、自分でもうしろめたかったぐらいで、口にもしそびれたのだと今でも思う。
まだほんの小さいころから、老若男女を問わず、自分より弱いものしか愛せなかった。強いものや、すぐれたものに対しては、別に嫌いでなくっても、何の魅力も感じなかった。おさなごころに思っていたのは、今は自分の年下や目下が少ないから恋愛対象も少ないけど、その分年を取れば取るほど、どんどん恋愛対象にできる人が増えてくるだろうから無敵だなということで、実際そうなった(笑)。
ただ最近では、そうは言っても超高齢になったら、またどうしても弱者になるから恋愛対象はまた減るのかなということで、これはどうしたらいいんだろう。というか、どうなるんだろうな、私の心理としては。
今朝、水をまくついでに、枯れていたあじさいの花を切り取った。葉っぱは青々元気なので、これでまた栄えてくれるだろう。でもつくづく、白い小さいバラを、近くに植えたのは失敗だった。どちらもものすごく伸び広がって、もっと離して植えてやるべきだったと、見るたびに後悔している。