君は腐敗に汚されておらぬ
部屋はさっぱり片づかないし、体調もあいかわらずぱっとしない。おまけに何だかくだらないことにかき回されて、時間がどんどん過ぎてしまう。これではならじと免許更新と期日前投票を一気にすませ、冬に備えてエアコンと火災報知器の補修もしてもらったが、あれやこれやで、ちょっと動くとたちまちぐったりしてしまう。言っちゃならない冗談なのはわかっているが、こんなときにちょっとでもしゃんとしたくて人は覚醒剤に走るのだろうなとか、最近ご近所でも話題になってる闇バイトの強盗犯の若者が侵入でもして来たら正当防衛に名を借りて刺し殺してしまったら少しはせいせいするのじゃなかろうかとか、末期的なことを考えている。もしかしてうつ病になりかけてるのじゃあるまいか。
そんな私をいさめるか励ますか慰めるかのように、雨の中、荒れ放題の庭のあちこちでは、思いがけないところから、小さな黄色いクロッカスや、ピンクのバラが咲き出していて、ついほろりとさせられる(笑)。
米国の大統領選挙では、トランプがやや有利だとか、日本の衆院選ではあまりにもいけしゃあしゃあと裏金議員や統一教会議員が街頭で演説してるから、いろいろと心穏やかでない。そしてロシアや各国で、戦争でどんどん使うから軍需産業が景気がいいとか聞くともう腹が立つなんてものじゃない。人殺しをする武器がいくら使ってもたりないからそれを作る会社がもうかって国の景気がよくなるとか、どう考えてもまともじゃない。私は無神論者のつもりだが、こんな世の中を放置していたら、そろそろ人類は神さまから愛想をつかされるだろうと思う。
実はあれからまた数回「グラディエーター」の劇場リバイバル上映も見に行って、その感想も書きたいのだが、まあちょっとだけ書いておくと、かれこれ二十五年前の初公開のときには、特に普通で気にならなかった冒頭の場面が、いやにリアルに身に迫るのが驚くと同時に恐くてしかたがない。老いたローマ皇帝が信頼できる部下に位を譲りたいと言い、彼が「謹んで辞退を」と言うと「そういう君をたのむのだ」と答え、「もっとローマをよく知る政治家や人物がいるはず」と部下が重ねて辞退すると、「君は腐敗に汚されておらぬ」とたたみかける。両俳優が名優なので、これだけのやりとりも、それはもうしみじみと胸にせまって来るのだが、今の時代に今の時期に、このやりとりを聞かされると、昔とちがってもう本当にひとごととは思えなくて、切なくて、つらい。ついでに言うと、その後主人公が爛熟と腐敗の象徴であるコロセウムを見て絶望するときにも、アホな新皇帝が、そこで、派手な競技を行って民衆の目を政治からそらそうとしまくるのも、昨今のスポーツニュースを流しまくる報道番組と、それに夢中になる人々と重なってくるから深刻だ。
そう言えば、プロ野球のセ・リーグのCSでは、テレビの解説がめっちゃジャイアンツにひいきして、負けたとたんに放送を打ち切ったとのことで、ネットで怒りが噴き上がっている。別に巨人に恨みはないが、ありそうなことすぎて、ため息が出る。まあ、オリンピックの日本びいきの放送で免疫が出来ているから今さら驚かないが、そういう姿勢がスポーツ中継見たくなくなる原因なんだよなあ、私の場合。
とにかく今回の選挙では「君は腐敗に汚されておらぬ」共産党、れいわ、社民党のどこかに投票するしかない。私の選挙区では野党統一候補が成立したので、その方(そうあきこさん)に入れました。比例は日本共産党。心残りだったのは最高裁裁判官審査の予習をしてなくて、誰に✕をつけなくていいのかわからなかったこと。おぼろな記憶をもとに書いてきたけど、まちがってる気がして後味が悪い。これでも見て、しっかりチェックしてから行くべきだったと反省。検事総長の国民審査とかなら、まちがいなく迷いなく✕をつけられるんだけど。