国語学者の怒り
◎友人の国語学の先生から突然手紙が来ました。誠実で真面目で、特に政治的な人でもなかったのですが、最近の高市早苗さんの発言に「こんな軽い方が日本の指導的な地位にいることが怖ろしくてなりません」と書いていて、「こぶしは振り上げませんが最善を尽くそうと思う」から、人見知りはもう止めて、集落の人と話し、何百人かいる卒業生に一日一枚葉書を書いて、平和憲法を守るよう訴えることにしたとか。五月三日には日の丸をそっと玄関にあげたとか。
◎いいなあ、と読んでいて、しんみりほのぼのするような手紙でしたが、彼が橋下市長の慰安婦問題をめぐる一連の発言について、「麻生前総理の言い間違いにあれだけ騒いだマスコミが一言も言及しないのはジャーナリズムの劣化ではないか」と指摘しているのには、感心しつつ、ちょっと笑いました。いわく、
「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で、命をかけて」は、「雨あられのごとく」のまちがいだろう。
「アメリカは懐の狭い国じゃないから」は「懐の浅い」と「心の狭い」の混同だろう。
だって。いや、まったくそうですが、私も気づかなかったなあ。その内に松尾貴史あたりが書いてくれるだろうか。(笑)
私の友人は、市長が文楽をバカにして予算を削ったことや、「英語がしゃべれないからアメリカと意思疎通できなかった」と言ったことをひいて、人文学への理解が少しでもあれば、こんなまちがいはしないだろうし、こんなことでは英語を学んでもろくな英語にはならないだろう、まず日本語の基礎を身につけてほしいと、とてもまじめに書いていました。
◎たまたま昨日、もう一人のもと同僚は、高血圧の持病があって「安倍だの橋下だの石原だのといった輩は存在自体が血管を切らせる爆弾に等しい」と怒ったメールをよこしました。
新聞の投書欄や社説が、最近ずいぶん「憲法を守れ」「平和を守れ」という意見が多くなっているのや、九条の会の集会にじりじり人が増えているのを見て、誰か仕掛け人がいるのかしらとのんきなことを考えていたのですが、そうではなくて、皆が本当に恐れ、怒りはじめているのかもしれません。
私のように常時怒っている者は、かえって事態に鈍感になっているのかもしれません。
◎ところで、猫のカツジは今朝見ると頭の一部が少しはげて、血がにじんでいました。どうしたのだろう、ノラ猫と金網ごしにバトルしたのか、まさかどこかから一人で転げ落ちたのか。特に痛そうでもないのですが、様子を見て、よくならなかったら病院に連れて行くことにします。