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夜の声

先日、久しぶりに由布院に行って、ホテルに泊まって遊んだのがあんまり楽しかったので、私はレジャー禁断症状にかかってるんだと思ってた。そうしたら、今日隣町のイオンに買い物に行っただけで、またまた心が浮き浮きして、本当に私は町に飢えてるんだなあと痛感する。家にいるのも家事も仕事も死ぬほど楽しいのだが、遠出や近出もまた楽しい。

でも数ヶ月行けてなかった、近くのコーヒー店に行ったら、12月でオーナーが代わっていたのは驚いた。前のオーナーご夫妻とは行くたびに首相やトランプの批判で大いに意気投合して盛り上がっていたので、ちょっと淋しい。連絡先を聞いてもよかったが、何かご縁があるならまたどこかで会えるだろうと、そのままにした。店自体はメニューも前のと同じものも多く、また時々食事に行くことにしよう。

その帰り、行きつけの花屋で大きなユリを買った。玄関の花びんに、それこそ去年の名月のころに、すすき代わりに買って来たパンパスを、そのままずっとドライにして飾っていたのだが、さすがにそろそろ変えてみたくなった。庭のユキヤナギはここぞとばかりに茂って、まるで巨大な噴水のようだ。裏庭には、これを増やしてもいいかもね。うまく広がったら春にはきっときれいだろう。

花屋のオーナーと常連のお客さんといっしょに、私の資料や本がなくなった話をしていて、「先生は明るくしておられるけど、実際は本当に体調もよくないぐらいでしょう。私だったら寝込む」と言われたので、ついつい「そうね、まず夜は眠れないし、血圧は高くなるし、目まいがするし、うつ病とか自律神経失調とかはこういうのかなと思うことがある。最近では処分された本や資料が、捨てられるまでずっと私のことを、ひと目でも見てほしい、触って別れを告げてほしいと思って、ずっと待っていたんだろうなあ、でも私が来ないので、どうしたんだろうと思いながら、トラックに積まれて運ばれて行ったんだろうなあとか、つい考えてしまう。田舎に帰って、書庫で時間をすごすたびに、棚の資料たちに向かって、いつかきっと、おまえたちを使って論文や本を書いてやるから、待っていてよね、約束するから、と語りかけていたから、どうしたんだろうなあ、あの約束は、と捨てられる前まで思って私を待ちつづけていたんだろうなあと、毎晩その声が聞こえるような気がして寝られない」とか、調子にのってしゃべってしまった。いかんなあ、こうやって、ついついサービスしてしまうのは。まあ言ってることは嘘じゃないけどさ。

車の中で地元の局がホークスとカープのオープン戦の中継をしていた。結局引き分けになったのだが、ホークスの若手の松本と二保の両投手が開幕ローテに入るべく、どちらも好投していた。結果を知りたくて例によってファンサイトをのぞいていたら、松本投手のインタビューがあって、猫好きだとのことだった。前に同じホークスの板東選手が猫好きで、無人島に何かひとつ持っていけるとしたら、「猫ですかね」と言っていたのを思い出したが、松本投手はそれどころか、現に一人暮らしで猫を三匹飼っているのだそうで、驚いた。「にゃんこパワーですね」とアナウンサーは思いっきりのんきなことを言っていたけど、猫を三匹、独身で飼っていたら癒やされるとかいう前にストレスで野球どころじゃない気がするのだが、大丈夫なんだろうか。だいたい彼は年俸いくらだ、エサ代や砂代や医療費を三匹分も捻出できるのだろうかなどなど、ものすごくいらぬ心配をしてしまった。

写真は以前、うちの庭に咲いていたユリ。背後にさりげなく猫のカツジが写っているのはご愛嬌ってことで。

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カツジ猫