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夜の物音

昨夜の夜中をとっくにすぎて、パソコンに向かってゲームや仕事にうち興じていたら、何だか窓の外で、物音がする。家の前は道路なのだが、家との間には少し空間があって、車や植木鉢がおいてある。そこに何かがかさこそとぶつかる音がして、やんだと思うとまた始まる。

ネレ・ノイハウスの重厚で明晰な警察小説ではあるが、事件自体は児童虐待の連続殺人のと、けっこうグロいミステリをたてつづけにベッドで読みふけってたこともあり、しかも最近現実の日本でも、物騒な強行が頻発しているから、どこぞの暴漢が家に侵入しようとうかがっているのかと、対策を考えていた。まさかこの状況で110番もあるまいし、窓からどなってやろうかしら、確認をしに出て行ってみようかしらとか、あれこれ考えてみた結果、何しろ外に出るのだけはヤバかろうと判断し、結局そのまま寝てしまった。

朝になったら忘れていたが、水をまきに庭に出たら、上の家の玄関先に、けっこう大きな枯れ木の枝が落ちているし、物音がしていた問題の空き地のあたりには、道路を隔てた森から飛んで来たのか、枯れた小枝がたくさん散っていた。さてこそ昨夜の物音は、これが窓や外壁にぶつかる音だったのかと腑に落ちたけど、よっぽど風が強かったのだろうか。

テレビのワイドショーをチラ見していたら、岸田政権の支持率がガタ落ちしている話題が出ていて、いろんな理由が分析されていた。分析などする必要もないやんと思いつつ聞いてると、東国原氏がつけくわえたい理由が二つあると言って、「一つは六月に解散風を吹かせたときのあの笑顔が本性をあらわしたという感じだった」みたいなことをあげ、もう一つは「子どもたちに『なぜ首相になりたかったのですか』とインタビューされたときに、『日本で一番権力のある人だから』と答えたこと。その後で、一番やりたかったことは人事だともどこかで言ってて、ああいう笑顔や発言がボディブローのように今効いて来てるんでは」と指摘した。

そりゃまあその通りっちゃあそうだが、その時に隣席の大久保佳代子氏が、驚いたように「ほんとに、そんなこと言ったの? 冗談とかウケ狙いじゃなくて?」と確認していたのも印象的だった。
 大久保氏は決してアホじゃないし、いろんな教養や情報も持ってる人と思うが、その人にして、岸田首相の「権力が一番あるから総理になりたかった」という、あの最低の発言を知らなかったとは、本当にマスコミって政府に都合の悪い話を広めないんだなあと、あらためて痛感する。

近世和歌のことをもうちょっと勉強しとこうと、また書庫から昔の本をひっぱり出した。柳瀬万里さんと宗政五十雄先生の共著『近世和歌の世界』で、宗政先生の「前期は後水尾天皇、後期は香川景樹」と言い切っておられるわかりやすさにも助けられたが、柳瀬さんのていねいな概説を読んでいると、かなり若くして亡くなられた彼女の、優しくてつつましくて、優雅なお人柄や立ち居振る舞いをあらためて思い出し、なつかしくて切なくなった。
 彼女とのわずかな交流と思い出は、「断捨離狂想曲」の「トイレの日金山」の項目にかなり詳しく書いている。これもまったく今さらだけど、彼女の思い出のためにも、ちゃんとこの本を読んで、少しは授業に活かしたい。

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カツジ猫