忘れないで。
◇説明するのが難しい状況なのだが(笑)、昨日近くのアウトレットの店で店員さんと、短いはしごの乗り心地をためしていたら、はしごがすべって地面に倒れ、私は壁に顔と上半身をぶっつけて、額と手の甲をすりむいた。まあ大したことはなかった。めがねのつるがゆがんだので、メガネやさんで直してもらったついでにレンズの点検もして、少し度が弱くなっているのを直して、新しいレンズを注文した。網膜剥離とかにはなってないと思うが、気をつけておこう。
とっさのことなので、どうして手の甲をすりむいたのかがわからないが、指のつけ根が何か所か軽く赤むけになっている。そうひどい傷でもないから、マーキュロをつけたまま放っておいたのだが、入浴のときにお湯がふれると、激痛が走る。我慢できないかとためしにお湯につけてみたが、脳天まで刺すような痛みが襲って一秒ともたなかった。
あらためて、去年、埼玉の元税理士の男性に、檻に閉じこめられてバーナーで皮膚を焼かれた上から熱湯を浴びせられて死んで行った13匹以上の猫たちを思う。爪の先ほどの範囲しかない小さな傷でこれなのを、全身で感じて死に至った命。
忘れないで、と言われている気がした。殺された猫たちから。
私の傷は癒えるだろう。しかし、殺された命が戻ることはない。
殺した男と、それを浮かれて支持している人間たちは、この今もまだ生きている。
彼らは、自分たちのしたことを見つめる勇気も認める勇気もないだろう。殺した命と、その苦しみから、目をそらし忘れるためだけに、今後も狂ったように軽薄なことばを吐き出しつづけるのだろう。
何という人生か。熱湯を浴びてぼろぼろに崩壊しているのは、むしろ彼らの精神だ。修復不可能なまでの荒廃と腐敗。憎まなくてはと思っても、どうしても哀れみしかわきおこらない。何という人生だ。
◇明朝までにワールドギフトへ送る小包を完成させなければなりません。成算はあるのですが、油断はできないですね。読みさしの「ガレー船徒刑囚の回想」も読んでしまいたいんですが、今夜はお預けかな。