1. TOP
  2. 岬のたき火
  3. 日記
  4. 忙しいから、最低限のことだけ書いておく(5)

忙しいから、最低限のことだけ書いておく(5)

私は軍隊が戦争の抑止力になるとは思いません。しかし、絶対の確証があるわけではないので、そう思う人がいるなら、それもありかもしれないとまでは思います。
しかし、自衛隊を増強し、アメリカとの協力関係を強め、それで安心して枕を高くして眠れるかというと、これはかなりの確信を持って、そうは行くまいと考えますね。

身近な例で話すのがいいのかどうかはわかりませんが、自分の家の境界が隣家に侵犯されそうだからと言って、村の有力者と友人になったり親戚になったりするのは、それだけの覚悟が必要です。
その有力者の敵を敵に回すかもしれないし、有力者自身があなたの土地を取り上げようとするかもしれない。
そういう可能性を覚悟で隣家の侵犯を防ぐために、その有力者を利用しようと思うなら、油断せず、気を抜かず、つけこまれないようにしつつ、盆暮れの進物もさしあげ、いろんな行事の協力もして、しかもいやな事は上手に断るとか、知恵と気力が要求されるのですよ。
アメリカとつきあうのだって、それでしょう。あちらは、その気になったら日本なんか切り捨てて、北朝鮮とでも中国とでもとっとと手を組むかもしれないんですよ。べたっと信頼していても、怠惰なアホと思われるだけです。

自衛隊について言えば、仙石さんが「暴力装置」とか言ったと問題になってるようですが、よくニュースを聞いてないのでわかりませんが、なんかもう、ずれてるなあ。自衛隊の人も「ええ、私たちは暴力装置です」って、何で誇りを持って言わないんでしょう。
その話はまた後でするとして、私は身近なたとえ話として、用心のために、柴犬を飼うかドーベルマンを飼うか、いっそトラを飼うかという問題だと言おうとしていたのですが、昨今の風潮だと、これも「自衛隊の皆さんを犬や獣に例えるか」と、問題になりそうな。これが冗談ですまないのなら、実にいやな世の中です。

それでは、これを用心のため、拳銃を引き出しに入れておくか、前庭に地雷を埋めておくか、そういう話にしてもいいけど、今度は「道具に例えるのか」と言われるでしょうか。
ともかくですね、強固な軍隊を持つということは、猛獣の餌や鎖や檻、武器を入れておく金庫や鍵、のようなもので、費用もかかれば、何よりも、きちんとそれを運用し制御できる、賢明で強力な政府と国民が必要なんですよ。
「まかせておくから国防はどうとでもして。その間に私は受験勉強して温泉行って友だちとランチして投資信託してるから」なんて、ふぬけた精神で、北朝鮮を追い返せるような強い軍隊を管理できるものか。軍隊だって困るでしょうよ。

自衛隊でもどこの国の軍隊でも、軍隊は戦争をするもので、暴力で事を解決するものです。当然そのように考え行動し、意見を述べるに決まっています。それでなくちゃ困ります。
「暴力装置」ではいけないということは、それ以上の、それ以外のことも軍隊が判断しろってことなんですか。政府と国民は何をするの。

歴史を見ても現代を見ても、強い軍隊にはそれを使うに見合った国民と政府が必要です。武器を持ち、敵を倒すことが役目の組織は、そういう観点で動きます。そうでなくては軍隊じゃない。それは、軍人ひとりひとりの人格や素質とは何の関係もありません。
有能な軍人は決して殺人鬼なんかじゃありません。むしろ平和を好む人格者が多いでしょう。それでも、その仕事についている以上は、いかに効率よく敵の戦意をそぎ、敗北させるかが目的で、人を殺さないことはその条件にはありません。

そういう組織を持つからには、政府をはじめとする国民全体が、日本と世界の現状について正しい判断力を持ち、それに必要な情報収集を常に行い、ここで軍隊を使うべきかそうでないかを的確に決断しなければなりません。
それがきちんとなされなかったら、自分たちの命がかかっている軍隊の方がいらだって、政府を倒して政権を握り、軍事国家を作ります。便利で安全な機械はそれだけ危険なもので、そうさせないためには、国民の不断の努力が求められるでしょう。

軍事国家は基本的に私は好きではありません。しかし、それが最高に良質なものになる可能性も、今の日本では薄いと思います。政府と同様、軍部もまた、しょせんは国民の性格の反映で、無責任で無気力な国民や政府から生まれて、それにいらだって倒す軍部はしょせんそれだけの質のものでしかないでしょうし、それはもう多分最悪です。

う~ん、あとちょっとだけ。

Twitter Facebook
カツジ猫