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怒涛の進撃(笑)。

◇今日中に、ワールドギフト(不要なものを寄付して活用してもらう団体)に送る小包を、6個作らなくてはならない。他にも仕事はあるのだが、今日はこれが最優先だ。それが終わってもまだまだ片づけはあるが、その先には、ずっと手をつけられなかった、本当にやりたい仕事がようやく少し見えてくる。細く長いトンネルの向こうに、明るい草原が広がっているのが、ようやく遠く小さく見えて来た感じだ。

◇小津久足の家訓というのを翻刻したコピーをもらった。いずれはどこかに発表されるだろうが、一足先に読めるぜいたくを味わっている。
短いものだけれど、これがもうめっぽう面白い。商家運営の心得といったものから始まるが、いきなり士農工商の話になって、士の階級のあり方やら実際やらを「まあ町人の言うことじゃないんだけども」みたいなこと言いながら、しっかり言ってるじゃんあんたと突っこみたいぐらい、平和な時代における武士階級の存在について定義し分析している。その冷徹なリアリストぶり、落ちつきはらった観察が、読んでて背筋に泡を生じるほど笑える(そんな変な表現しかできない)。

士農工商なんて江戸時代はなかったとか言われ始めているらしいが、これ読むと、そういう感覚がどんな風にしっかり維持され、その一方で崩壊して(はじめからそうかもしれないけど)いたかが、手にとるようにわかる。そして具体的にも領主から御用金を申しつけられることを、どう考えればいいかなどを書いていて、天保期の江戸時代の商人たちが、武家社会にどう対応し、どう自分たちのあり方を把握していたかが、ありありと伝わる。

これは、江戸時代の近代化とか資本主義化とか、そういう点からも貴重な資料だろう。発表されるのは、きっとまじめな学術雑誌で、ひっそりしっかり紹介されるのだろうが、ある意味惜しい。もっと無責任な(笑)評論家が、奔放な解説をつけて、一般の人に面白く読ませたらすごく役に立つだろうに。いっそ小中高の教科書に採用してもいいぐらいだ。

しかし久足はもちろん歌人としてもすぐれた業績を残しているし、歌論も書いているのだが、この商家運営法も歌論もすべて一貫して筋が通ってわかりやすく論理的で、しかも個性的で独自性があるって、もうむちゃくちゃやな(ほめてます)。

◇さてコーヒーでも入れて仕事にかかります。

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カツジ猫