思考停止。

◇はっと気がついたら、もう今日が非常勤先の大学の最後の授業。去年の暮れに休講した分の補講をする時間が見つからなくて、来週の試験期間中の試験時間（私はレポート提出なので、この時間は使わない）に授業をすることにした。学生に聞いたら、皆出席できるようで、何とかほっ。としたのもつかのま、その１時間というか９０分で戯作に関するすべてを語るなんてできると思いますか奥さま。

◇少し服を整理したついでに、叔母の遺したものすごく派手な花模様の、ごていねいにラメまで入ってるジャケットを授業に来て行ったら、いつも私の服装をチェックしてるらしい学生が「今日のジャケットもハイセンスで素敵です」とか授業の感想に書いて来てくれた。５０年くらいも前の服だぞ。でも叔母の服は基本、金がかかっているので、派手でも古くても関係ないようだ。しかも実は暖かい。
明らかに服が多すぎるので、古着屋にがさっと持って行きたいのだが、叔母の服の中にはこのように、着てみたらものすごく着心地がよくて暖かくて重宝なのがときどきあるので、一応全部一回は着て見ないとと思うから、毎年処分計画が頓挫する。

夜、その服装のままで母のところに行って、「これ、なおこおばちゃんの服よ」と教えると、「うん、いいねと思って見ていたのよ」と言った。「だいぶ人にもあげたんだけど、これは派手すぎて誰ももらってくれなかったから私が着てる」と言ったら、「たいそういいよ。人にあげたりしなさんな」と、のたもうた。はい。

◇その帰り、この前、戦争法反対の署名用紙を預かってもらっていたお店に寄ってコーヒーを飲んだ。マスターと奥さんが「この署名は説明もいらないです、どんどん皆さんしてくれます」と言って、「もう少し欄が余ってるから、いっぱいになってから」ということなので、またそのまま置いて来た。「どんどんひどい世の中になるのを、何となく皆が肌で感じているのがわかります。でも、飲みながら話していても、そういう話題になると皆沈んでしまって、思考停止になってしまう。見つめると暗いものしか見えないから、皆が目を閉ざして考えないようにしている」と、マスターは何度も「思考停止」ということばを使っていた。

マスターは前回行ったときは「野党もだらしないですねえ」と慨嘆していて、私はそれはまああまり強く共感はしなかったのだが、やっぱり、よくのぞくツイッターとか見ていても、民主党の自虐ポスターの評判とかはさんざんだなあ。私はかねがね民主党の評判の悪さは、マスメディアによって作り上げられてるし、何がどうでもアベ政治よりはましと断言してはいるが、さすがに今度のポスターはどうかと思う。もっと自信を持ってほしいよ。

https://twitter.com/sangituyama

だけど、この前、戦争法廃止をめざす実行委員会の人が「今回の甘利さんをやめさせられなかったら、日本のマスメディアはもう深刻な危機だ。文春は一か八かの勝負をしてる」と言ってたのですが、このブログを読んでも、甘利さんの辞任は大きなことなのかもしれませんね。

◇帰ってきて、カツジ猫のすべすべやわらかい暖かい毛にさわると気分がいい。これで、かみつかなかったらもっといい（笑）。
夜、私がベッドに寝て、テレビで海外ドラマの「ナポレオンソロ」のＤＶＤを見出すと、すぐに来て私の首の横からふとんにもぐりこむのだが、そこで私がリモコンを操作してると、きげんが悪くなる。本当に嫉妬してるんじゃあるまいね。

ドラマの方は、はちゃめちゃになるとか言うシーズン３にはまだ入ってないし、それなりに毎回面白いが、昔からのファンの人が指摘しているように、マッカラムのイリヤ君の人気が高まって来たころなのか、だんだんファンサービスが高じてきているのはわかる。フェミニズム的な視点で見てしまうと、とファンの人も何だかややこしい批判のしかたをしているが（つまり女の人を過剰に性的に描くような人権無視の描き方）、わざわざ濡れたシャツから肌がすけて見えるような場面を作って、しかも水中で戦う相手がナイフの達人で、そのシャツを切り裂いて、あられもない姿にするとか、まあしかし、江戸の歌舞伎でもこういうあざとさは、いろいろと、いやっというほどあるからなあ。

リメイクの映画でドラマにもはまった新しいファンの間でも、その傾向はもう皆の共通理解事項になってるようで、ゆうべ夜中に見た、どこかの誰かが、「背もチビだしめちゃめちゃ可愛いから超めちゃめちゃかっこいい大人っぽい服着て任務に挑むも元がとにかく超めちゃめちゃ可愛すぎるもんだから敵に侮られてアレなことやソレなことをされてしまうイリヤちゃんください！って言おうとしたけどそれが公式だった」と書いているのには、深夜にもかかわらず声出して笑いそうになって困った。ええと、知らない人のために解説しときますと、「何々下さい」というのは、腐女子の人たちが、「そういう妄想をしたいので、誰か二次創作で書いて下さい」ということで、「公式」というのは妄想や二次創作のネタにする、本来の原典のドラマや漫画や映画や小説のこと。つまり「思いっきりエロチックで病的な妄想をして楽しもうと思ったら、もともとの原作がすでにそうだった」ということです。

まあ先の濡れたシャツにナイフの場面で、あれ、水中の格闘の間に、破れたシャツが一瞬元に戻ってる、何回かとり直したのかな、などと考えている私もどうかと思うけどね。言わせてもらうと、英語の字幕を必死で読んでる分、せりふイコール字幕がない場面だと目がヒマなんですよ（笑）。