恋人は妻。
◇今日は大工さんが、第二次書棚増設工事の見積もりと予定を持って来て下さいました。
おなじみなのをいいことに、思いきり棚の高さや幅や長さを複雑に組み合わせてお願いしたものですから、確認のためということで、パソコンできっちり作った図面を持って来られました。すごいなあ。大工さんも今ではこんなことができなくてはいけないのか。
ともかく、それで早々に工事にかかってもらうことになりました。全然片づけとかできていないのに、どどどどうなるのだろう。
◇そう思いつつ、わりときれいになっている、下の新しい小さい家の机に座っていたら、私の家の前にだけ、ちょろっと残っている、森のような木立の木々を透して夕日がぴかぴか光っていました。思わずぼうっと見ていたら、あっという間にもうこんな時間(笑)。
今日は一日とても天気がよくて、家の四方から次々に陽がさしこんで来て、田舎から持って来て壁にかけた、大好きな絵の数々が浮かび上がり、もうどこかよそに出かけるのはもったいないという心境でした。
むかーし、名香智子(やだやだ変換していろんな漢字を見てる内に、この字でいいか自信がなくなった)の「花の美女姫」という相当に趣味に走った漫画を愛読しておりまして、その中で誰かが、ある魅力的な男性の恋の相手が妻だとわかって「何てこと!」と驚きあきれてショックを受ける(そういう漫画だったのですよお客さん)場面があったのを思い出して笑っています。どんな素敵な喫茶店より洒落た街並みより、自分の家が魅力的と臆面もなく言える心境とは、どこか妻に恋している男性のうしろめたさと似ているかもしれません。
◇しかし書棚工事中の上の古い方の家は、クマの置き物のある居間や仏壇のある元書斎などは、部分的に片づいているものの、全体としてはカオス状態で、アロマオイルをたこうと思ってもマッチが見つからず、お茶を一杯と思ってもティーバッグが行方不明と、ストレス解消しようとするたびストレスが増加する現象がずっと続いているところです。まあまあそれも楽しむしかないか。
そしていくら何でも怠けすぎの紀行全集の校正や、また目前に迫って来た授業の準備も気にかかり、浮き足立った熱いトタン屋根の上の猫状態の私は、やけでもう今夜あたり、絶対見て得はないとほぼわかっている「ヘラクレス」の映画でもぱあっと見に行っちゃおうかなあなどと思ったりなんかしているところです。
◇今朝の「しんぶん赤旗」に文武両道の思想家内田樹さんが、ものすごくわかりやすいいい文章を書いていて、つい切り抜いてしまいました。明日にでも紹介します。そういうまとめ方もいかんですが、毎日新聞にときどき書かれる鹿島茂さんの文章も実に核心をついて要点をとらえていて、読んで気分が洗われるんですが、お二人ともフランス文学や哲学の方なんですよねえ。明晰な論理というのは、こういう風なものなんでしょうか。
内田さんの文章(あ、これって聞き書きかな)の最後は「『赤旗』の報道の方がNHKよりバイアス(偏り)が少ないというのは戦後はじめての事態じゃないですか」でしたよ。同感です。